アスファルトを駆け抜けるツインカム88ダイナ。チタンマフラーの図太いサウンドにFCRの吸気音が、乗り手を挑発する。
STACKメーターの針を睨みつけ、スロットルを開け放つ。ツインカム88ならではのトルクフルな乗り味は、Vツインモーターのひとつの完成形だ。吸排気系のモディファイに、ジッパーズのイグニッションシステムを加えたライトチューンながらも、その乗り味はアグレッシブ極まりない。今さらながら、ツインカム88モーターのポテンシャルを思い知る。
足周りも抜かりはない。フロントフォークはスプリング変更とダンパー加工で、踏ん張りの効いた粘りある動きを見せる別モノに姿を変えている。リアショックはWP製ワンオフ。前後ホイールはミスミエンジニアリング製10スポーク、ローターも同タイプとされる。キャリパーには前後ブレンボ4pot、そのパフォーマンスに不満はない。
エクステリアもトランプ流アプローチにより徹底的に手が加えられている。まずはフューエルタンク。SS3.25ガロンをベースに再度を微妙に縮め、エアプレーンキャップを装着。タンク容量を稼ぐため、ボトム形状をフレームに合わせて加工。もちろんマウント位置もピンスポットで狙ったものだ。フロントフェンダーはオリジナルショートタイプ。リアフェンダーは純正ベースにサイド/エンド部をカットし、若干尻上がりにマウントされている。そのラインに合わせ、ダブルスティッチのソロシートを製作。ヘッドライトのマウントは内側にオフセットし微調整。これらミリ単位のせめぎ合いこそが、トランプ・カスタムの譲れない流儀なのだ。
速く走るための機能を煮詰め、さらにオートバイとしての美しさを追求する。やはりこのマシンは、きらびやかなショー会場などではなく、路上が似合う。