今回紹介するこの一台を製作したのは、全国にその名が認知されるモーターサイクル・デンの松永泰幸さんと阿部司さん。フロントは2インチ、リアはショベルFLHのショックを流用してローダウン。タンクはストックをベースに幅を詰めて成形。リアフェンダーはタイヤパターンの荒々しさを強調すべくショートカット。松永さんの「アンティークチョッパー」と阿部さんの「オールドレーサー」という互いの得意な分野が調和し、さりげなくも人目を惹くスタイリングを実現している。
エンジンはストック。Eキャブとマフラーのみ手を加えたマシンに乗り、高速道を走る。ツインカムならではの熟成されたエンジンフィール。スーパーバーにホールド性の高いシート、ミッドコントロールという踏ん張りの効くポジションが乗り手に安心感を与える。特別なチューンは何ひとつされていないが、体感速度は思いのほか鮮烈。必要にして十分なスピードなのに、気づけばシフトはまだ4速だ。吸排気のみで乗り手を満足させるライドフィールだ。突出したメタルワークやギミックは何ひとつない。あるのは高度なマシンバランスのみ。しかし、それこそが見る者を惹きつける、デンの看板を背負う者のアティチュードだ。