世界最高峰のワークブーツメーカー
ハーレー乗りから絶対的な支持を得ている “ワークブーツ”メーカーがある。それがここに紹介するWESCOである。ハーレー乗りの足元は頻繁なシフトチェンジで酷使され、時には雨風に晒され、万一の事故の際には足を守る役割もこなさなければならない。スニーカーだと靴の傷みが激しく、すぐダメになってしまうだろう。それゆえハーレー乗りはブーツを求める。「ハーレーにはブーツがよく似合う」というスタイル的な面もあるが、求められる過酷な条件を考えればブーツが最善の選択と言える。しかしブーツと言ってもメーカーはさまざま。手ごろなモノからハイエンドモデルまでその種類は多い。それだけのブーツがあるなかで、なぜWESCOが多くの支持を得ているのだろうか。その魅力をご紹介したい。
100年に迫る歴史を持つWESCO
WESCOは1918年、オレゴン州ポートランドで「WEST COAST SHOE COMPANY(=WESCO)」として創業された。「シューメイカー(=靴職人)」という名を持つジョン・H・シューメイカーによって興され、小さいながらクオリティを最優先したブーツ作りをするメーカーとして、アメリカの大恐慌や第二次大戦を生き抜き、現在に至るまで100年に迫る歴史を歩んできている。決して大きなメーカーではないWESCOが、時代を経るごとに高い評判を獲得していった背景には、職人の手による徹底したこだわりがあったからに他ならない。1足のブーツを製作するにはハンドクラフトによる155工程の手作業が必要で、高い技術力を持つ職人が1足1足時間をかけて製作する。WESCOが大量生産には向かない、非効率とも思える製造工程にこだわるのには理由があった。WESCOはそもそも野外で重労働を行うロガー(木こり)に向けてブーツ生産をスタートさせたのだが、オレゴン州は11月~3月に雨期が訪れる。そのため、頑丈で履き心地がいいだけではなく、雨の中で一日中作業をしても耐えうる防水性が求められたのだ。
その後、ロガー用に製作されたWESCOのワークブーツが評判を呼び、タフにブーツを使用する労働者から多くの支持を得るようになる。製品ラインナップはユーザーの職業に合わせて広がりを見せ、警察官や消防士など、さらにタフにブーツを愛用する人々からも高い評価を獲得した。日常的に履きこなせる頑丈さに加え、リペアをすれば足に馴染んだブーツを長く履き続けることができるのもWESCOが人気の秘密である。WESCOがハーレー乗りに求められる理由はこういった歴史的背景からも理解できるというもの。WESCOはブーツに求められる厳しい条件を高い次元で満たすことができるブーツなのだ。