この記事は、雑誌バージンハーレー volume.19 P.49 および volume.22 P.102 に掲載されていたものを再構成・転載したものです。
見かけだけではないバガーのお手本
昨今アメリカ西海岸を中心に大きなブームとなっている“バガー”。その名の通りツーリングファミリーのバッグ付きモデルをベースに、エアロデザインというべきフォルムで身を包む、ド迫力系カスタムである。
ワンオフボディにフルペイントのショーモデルクラスになると、一般的なハーレーライダーには縁遠いが、御覧のようなシンプルなバガーなら気になる人は少なくないはずだ。
アメリカにおけるバガーの特徴は、エンジンに手を入れてパワーアップしているマシンが多いこと。見かけだけでなく、圧倒的なボディを圧倒的なパワーで楽しむというのがバガーのセオリーともいえる。大柄なアメリカ人ならではだ。
このマシンを製作した大阪府高石市のセブンオーセブンモーターサイクルは、ノーマルコンピューターの書き換えによるインジェクションチューニングを精力的に行っている。もちろんこのFLHXにもインジェクションチューンが施され、エアクリーナーとバンス&ハインズのフルエキゾーストによる吸排気効率の向上とともに、ストックでは味わえないパワーとトルクが堪能できるという。バガーのお手本とも言うべき仕上がりである。
ノーマルとは違う日本ならではのセッティングを
とてもリーズナブルな価格で提供したい
セブン・オー・セブンは、これまでハーレーの社外パーツを通販してきたお店である。カスタムパーツを取り扱う上でアメリカとのパイプを強め、独自のルートで最新のコンピューターチューニングキットを販売することになったのだ。
名前を、マックス・フォーメーション・システムという。もちろんアメリカで設計販売されているチューニングキットで、ノーマルコンピューターのベースマップを書き変えてリセッティングするアイテムだ。
「そのままではやはり日本の使い勝手や気候風土に合わないので、日本独自のマッピングを施して輸入することにしました。最終的なセッティングは、ユーザーにショップへ来てもらい、実際にここで車体と繋いでセッティングするということになります。そして、一度走行してもらい、気になる点がある場合は、一ヶ月以内なら再セッティングは無料。その後も、もしマフラーやエアクリーナー等を変更した際に生じる再セッティングは3000円で実施します」
そして、その価格はなんとセッティングのコストも込みで62,000円という価格に設定されている(2013年8月28日現在)というから驚いた。
すでに300台ものハーレーがセッティング済みだという。しかも装着されたユーザーの満足度も高いというのだ。これはよほど日本向けのベースマップがしっかりしているにちがいないだろう。
パワーアップと言うより乗りやすさがアップした
印象はとても良いですね
XL1200X フォーティーエイトからこのロードグライドに乗り換えた小林教張さんは、セッティング後の乗り味をこう語る。
「とにかく低速域のスムーズさが違いますね。何だか排気音も変わったな。力強くなりましたね。元々エンジンは大きいからパワーは充分だったけど、低い速度で乗りにくかった。その点は大きく改善されました。たぶんパワーも全体に上がっているんじゃないかな。正直、高速域はよく分かりませんけどね」
できるだけ安い価格で提供
それが707のポリシーです
お店はまるで美容院か何かのような雰囲気で、ハーレーショップ特有の油のイメージは皆無である。店内はよく整頓されていて、都会のオフィスのようであり、このお店が通販主体であることをうかがわせる。しかし、パーテイションで区切られた中には、セッティング用のコンピューターが鎮座しているのだ。