これが船場クオリティーなんです
TOYS McCOY PRODUCT代表の岡本さんは、自他ともに認める生粋のビンテージフリークである。今から23年ほど前にパンヘッドを探して大阪の船場にふらっと立ち寄ったことをきっかけに、船場の岡田学さんとの付き合いがはじまった。そこで出会った1952年式の水色のハイドラグライドに不思議な縁を感じて入手し、それ以来47や48など船場で4~5台の車両を譲っていただいているという。
「この46は前期型のFLなんですけど、もう20年くらいの付き合いになります。この前に37のナックルを船場さんで手に入れて、いろいろ手を加えて乗っていたんですが、船場さんのお客さんでその37を欲しいという人が現れたんです。ちょうど46のFLが船場さんに2台入荷することになり、そのうちの1台がこのグレーのナックルだったんですが、交換することにしたんです。きっと縁があったんですね。もう1台はブルーのナックルだったんですが、このグレーの現車を見て一発で気に入って交換を決めました」
「ほとんど部品も換えずに、オリジナルのまま乗っています。配線も当時のままなんですよ。シートだけはダメになったので、52年のパンヘッドのサドルシートに交換しました。そのパンヘッドも船場さんで譲ってもらったものでした。グリップすら交換したくなく、オリジナルのままです。まさに100%船場さんの車両と言えますね。
オリジナルオーナーは軍人だったみたいで、このグレーのカラーリングはアーミー仕様だったそうです。もちろんオリジナルペイントです。ジェネレーターすら開けた形跡がなかったくらいです。このタンクとメーターダッシュのビシッと隙間なく決まったラインがオリジナルペイントの証、なんともソソりますよね。フランダースライザーとハンドルバーもオリジナルオーナーが交換したもので、リスペクトの意味を込めてそのままで乗っています。走行距離は1万7,000マイル、これもリアルな数字です。すごくマイルドでスムースに走りますよ。これがメーカークオリティーなんだと思い知らされています。バイクはベストコンディションじゃなきゃ嫌なんです、僕は。いつでも日常の足に使える状態を保っています。つまりこれが船場クオリティーなんですね」