「“オリジナルマフラーを手がけたい”という想いはずっとありました。この『シーガル』は、その想いをようやく形にできた記念すべき製品です」
北米マフラーをはじめ、さまざまなアメリカ系メーカー製品の販売を手がけてきたパインバレーだが、オリジナルマフラー製作はこれが初めて。試作に試作を重ねて製品化まで何年もかかり……というのはハーレーの世界で珍しくない話だが、聞けばプロジェクトスタートから予約開始となった昨年12月24日まで、半年ほどという異例のスピード製造だったと秋山店長は話す。
「狙いがはっきりしていたからだと思います。まずは重低音であること。そして、バンス&ハインズやクロームワークスほど大きくない、北米マフラーの一歩上のサウンドを求めたのです」
パインバレーで取り扱っているブランドは、バンス&ハインズ、クロームワークスなどのアメリカ製マフラー、そして北米仕様の純正マフラーだ。 先の2ブランド製品はサウンドの大きさで知られているが、オーナーの住環境や感覚によっては「大きすぎる」と捉えられることもしばしば。それらと比べると北米マフラーはノーマルマフラーよりもしっかりした味わいのあるサウンドを備えているものの、「あともう一歩」という声も少なくなかった。エアポケットのように空いたそのゾーンに収まってくれるマフラーを探してみたが、「これぞ」というものが見つからない。
「ならば、自分たちで作ろうじゃないか」
長年マフラー販売を手がけ、これまでに多くのハーレーオーナーの声を聞いてきた自分たちには、他にないノウハウがある。今度はそれを形にしてみる番だ。こうして、オリジナルマフラー開発プロジェクトが立ち上げられることになったのだ。
パインバレー 店長
秋山 直輝 氏
生粋のハマっこ横浜出身。本牧に居を構えるパインバレーの名物店長。主に現行ハーレーモデルに関する造詣が深く、彼を慕って集まるオーナーは数多い。間違いなくパインバレーの顔と言える存在だ。
これまで接してきたハーレーオーナーがもっとも好んだのは、重低音マフラーだった。特に北米マフラーはカンパニーが手がけただけあって、重みのある低いサウンドが特徴的で、そこが人気の秘訣でもあった。
「素材は鉄、これは譲れませんでした。そして、重低音を引き出すための“鉄の厚み”を重視しました。この厚みが足りないと、いわゆる音割れを引き起こしてしまい、安定したサウンドを生むことはできません」
デザインは当初から“スラッシュダウン”と決まっていたという。いわゆる下向きのスラッシュカット型で、確かにこのスタイルは人気が高い。しかし、理由はそれだけでないという。
「下向けにカットされているので、サウンドが路面に向けられることになりますよね。外向けにすると周囲にサウンドを向けることになり、住環境によっては迷惑と感じられるケースがあります。そして、路面に向けられたサウンドが跳ね返ってオーナーの五感に心地よく響く効果も狙ってのものです」
開発段階でもっとも試作を重ねたポイントがこの重低音で、自社で完備するシャーシダイナモを活用して、理想のサウンドを求めた。とりわけ2014年以降のスポーツスターを適合とした製品だったので、実際にパワーチェックを行なって“トルクの谷”を解消するポイントも追求。完成まで半年足らずというスピード開発だったが、その間、あらゆる面の“質”を追求した末に生まれた製品というわけだ。
満を持して世に送り出されたPPM(パインバレー・パフォーマンス・マフラー)第一作の『シーガル』。適合は2014年以降のXLモデル全般ということだが、今後適合モデルを増やしていく予定はあるのだろうか。
「もちろんです。スポーツスターの次はダイナ、そしてソフテイル、ツーリングと手がけていきます。当然、デザインだってバリエーションを追加したいとも思っています。しかし、その前に作っておかなければならないのが取り替え可能なインナーバッフルなのです」
処女作となったこの『シーガル』は、パインバレーのノウハウから導き出した「日本のハーレーオーナーの多くが求めているマフラー」を具現化したもの。しかし、限りなく万人向けとされるとは言え、すべてのオーナーを満足させるのは難しい。そこで異なるサウンドを生む取り替え用インナーバッフルを用意し、それぞれのオーナーの好みに合った音質や音量をチョイスしてもらおうというのだ。
「あらゆる要素を含めて、ハーレーらしいマフラーができあがったと自負しています。良い製品とともにスタート地点に立てたので、適合モデルの増加とともに、さまざまなハーレーオーナーに楽しんでいただけるサポートをしていきたいですね」
蓄積されたノウハウにシャーシダイナモと整えられた環境から産み落とされたPPM『シーガル』。ここを起点に、パインバレーの新しい展開が広がっていく。
フューエルインジェクション化された現代のハーレーには、マフラー交換、エアクリーナー交換、そしてインジェクションチューニングが必須項目だと言われる。この三点セットでしっかりセッティングしてやれば、まるでビンテージモデルのような鼓動感を得られるようになるのだ。パインバレーが常に追求するのがこのハーレーらしい鼓動感で、オリジナルマフラーもそのコンセプトに基づいて生み出された製品だ。パインバレーのシャーシダイナモを使い、「フルノーマル」「マフラーのみ交換」「マフラー+エアクリーナー+インジェクションチューニング」という3パターンで出力とトルクの両方をチェックしてみたところ、違いはご覧のとおり。マフラーのみ交換してもノーマル以上の力を引き出せているが、チューニング3点セットを施したグリーンのラインは滑らかなカーブを描いた理想的なものとなっている。
しっかりセッティング!
アメリカ製防音設備を備えたシャーシダイナモ室を持つパインバレーでは、ベストなセッティングとなるチューニングサービスで、ハーレーの秘められた魅力(パワー&トルク)を100%引き出せる。本当のハーレーを感じ、楽しんでみたいオーナーはその門をたたいてみるべし。
スマホでセッティング!
バンス&ハインズ製のチューニングディバイス、フューエルパック『FP3』は『シーガル』との相性が抜群。アイドリングも800rpmまで落とすことが出来る。パインバレーは『シーガル』でのセッティングやマップを検証済み。近隣にダイナモ完備のショップが無い場合は、FP3でのチューニングを視野に入れてみよう。
バイクブロスの通販サイトにも、パインバレーオリジナルマフラー『シーガル』がしっかりラインナップされている。スリップオンで取り付けもカンタンだから、遠方のオーナーでも気軽に取り寄せできるのが嬉しい。ぜひチェックしてみよう。
住所/神奈川県横浜市中区本牧原12-1 ベイタウン本牧5番街 1階
電話/0120-918-469
FAX/045-305-4006
営業/11:00~19:00
定休/無休
積み重ねたノウハウとともに
充実のハーレーライフをサポート
北米マフラーを取り扱うショップとして知られるパインバレーは、アメリカの薫りただよう神奈川・本牧を拠点としている。各ブランドのマフラーはもちろん、ローランド・サンズ・デザインなど人気のカスタムパーツやヒートジャケット、米製ジェットヘルメットなども販売している。