2006年の創業から数えて10年、アニバーサリーイヤーを迎えたアメリカンモーターギアメーカー『オリオンエース』。最初はたったふたりから始まった同メーカーも、オリジナルの「ジャムズゴールド」を始めとする人気ブランドを数多く抱えるようになり、スタッフの充実とともにますます勢いを増しつつある。そんなオリオンエースを牽引する長谷川社長に、これまでの10年を振り返ってもらいつつ、これからの10年について語ってもらった。
「ハーレーに似合うアパレルを作りたい。そう思うようになったことが、オリオンエースの誕生につながるんです」
そう語りはじめたオリオンエース代表の長谷川氏は、バイク用品を取り扱う問屋、そして老舗バイクギアメーカーを20年渡り歩いてきた御仁。それまで氏の愛車はヤマハ・XJRやカワサキ・ゼファーといった人気のネイキッドスポーツばかりだったが、あるとき、人生初のハーレーオーナーになることを決意。
巡り合ったのが、2003年式のリジッドスポーツ・XL883R。オリジナルの2in1マフラーにオレンジのボディカラー、チェッカーデザインが印象的なモデルだが、「黄色いバイクがいい」と思っていた長谷川氏は少し悩んだという。そして「だったら塗っちゃおう」と、オリジナルカラーへペイントしたのだ。
お気に入りのハーレーを手にしていざ出かけようというとき、まわりに見えるモーターサイクルギアに違和感を覚えた。
「ハーレーが描く世界観に似合うアパレルがないって思ったんです。もっと自由な発想から生まれたカジュアルなウェアってないものなのかな、って。そんなことを考えていくうちに、『自分が理想とするブランドを立ち上げよう』と思い、オリオンエースが生まれました」
モーターサイクル業界で用品の卸し、アパレルの企画・営業を経験。2006年に株式会社オリオンエースを創業。かの有名な『Clay Smith Cams』や『INDIAN』に、同社オリジナルブランド『JAM’S GOLD』らの商品企画も自ら行う。愛車はハーレーダビッドソン FXSTC(1993)とフォード ブロンコ(1972)。
創業当初は、ウェアのみならず雑貨類まで扱うセレクトブランド一本で事業を展開していたが、「自分のイメージを具現化するには、オリジナルのブランドが必要だ」と考え、スタッフとアイディアを出し合ってオリオンエースの新しい柱が生み出された。それが『JAM’S GOLD』(ジャムズゴールド)だ。
「音楽の世界でセッションを意味する”JAM”と、『新ブランドには色の名前を入れよう』ということから僕が好きなゴールドをチョイスして、ジャムズゴールドという名前が生まれました。きらびやかなイメージを持たせつつ、いろんな楽しさをジャムする(混ぜる)ことで、進化するブランドとして今日まで成長を続けてくれています」
そして、1930年代のホットロッドシーンを彩ったブランド『Clay Smith Cams』(クレイスミス)と、ハーレーと双璧をなす米モーターサイクルメーカー『INDIAN』(インディアン)というふたつのブランドが加わり、オリオンエースはこの不動の”三本の矢”でアメリカのモーターシーンの再現を目指している。
「クレイスミスとインディアンは、その強烈なブランド力でアメリカらしさ全開のイメージを湧かせてくれ、そしてその2ブランドでは表現しきれなかった新しい世界観をジャムズゴールドで生み出していく。それぞれが個性的でありながら、いずれも欠くことができない、オリオンエースの屋台骨となっています」
そんなオリオンエースの10年は、アメリカンモーターギアという盤石な世界観とともにあったと言っていい。それは長谷川氏の言葉が雄弁に語っていた。
「映画『イージー・ライダー』などの影響はなく、自分のなかにあるアメリカへの憧れを表現してきた10年、そんな風に思います。とにかくハーレーのイベント会場に出展して、場内を歩くお客さんのファッションやハーレーの雑誌を見たり、実際にアメリカで見たシーンなどから勉強して、それを具現化してきました」
それぞれのブランドはしっかりと立たせつつ、その年ごとにテーマを決めてさまざまなビジュアルにチャレンジしてきた。駆け抜けてきた10年で手に入れたものは? と言われれば、”オリオンエースとしてのアメリカのモーターシーンの再現”だと答えられることだろう。そしてこれまでの10年が、新たな10年、20年を築き上げていくうえで欠かせない礎となる。
「もっとも実感するのは、スタッフの充実ぶりです。これまでは自分を中心にしてオリオンエースを表現してきましたが、最近は若いスタッフからもいろんなアイディアが出てくるようになり、感心させられています。今後は、僕も想像していないまったく新しいオリオンエースが生まれてくるんじゃないか、って思っているんです」
何も言わずとも、そこに佇んでいるだけでアメリカの匂いが漂ってくるオリオンエースのモーターギア。さらなるイマジネーションを手に入れたことで、想像を超える進化をはたしていくのだろう。
遊牧民のスタイルをリスペクトし、その生き様を目指す[AIM NOMAD]が今回のテーマ。大自然をダイレクトに感じ取るその姿をライダーに重ね合わせ、これまで培ってきたノウハウを活かしつつ新たな世界観へと飛び出していく。
[CAFE RACER]……。ライダーなら知っているであろう英国式ストリートカルチャーをテーマに掲げた。ファッションからカスタムと、オリジナリティにこだわるライダーのライフスタイルをアメリカンテイストで表現しようという意味合いが込められている。
1980年代のアメリカ西海岸でクルマやモーターサイクル、サーフィンといった独自のカルチャーを育み、そして生まれた[So.Cal.]が合言葉。その中心でアイデンティティを示したクレイスミスのレーシングスピリッツを余すことなく表現していく。
JAM’S GOLD、クレイスミス、インディアンの他、アウトドアメーカーであるマウンテンスミスも取り扱い中。ラットフィンクやムーンアイズのキャラクター小物も揃っている。