いくつものチューニング機器のなかから
自分に合った製品を選ぶことが大切
ここ数年でハーレーダビッドソンはすべてフューエルインジェクション仕様(以下 F.I.)となった。一方で、アメリカと日本の排ガス規制値の違いからハーレー本来のパワーを発揮できていないという弊害を現行モデル群は抱えている。性能そのものは以前に増してパワフルになっているが、実際の何十パーセントほどしか楽しめていないというのはあまりに残念。そこで昨今、注目されているのがインジェクションチューニングという選択肢なのだが、F.I.仕様の現行ハーレーの頭脳であるECMはそのままに設定を書き換える方法、またECMそのものを交換してしまう方法など、その種類は多岐にわたる。
今回紹介するモーターステージが取り扱うフラッシュチューナー『Direct Link』(ダイレクトリンク)はノーマルECMのセッティングを書き換える機器で、シンプルな設定と比較的安価なことから注目を集めている存在である。今回、そのダイレクトリンクを数多く採用している栃木県の正規ディーラー ハーレーダビッドソン小山の古谷野店長に話を伺った。
トラブルコードにも問題なく対応できる
順応性の高さも魅力のダイレクトリンク
古谷野店長がHDJ正規販売網の整備における最高位のタイトル『マスターオブテクノロジー』を取得するためU.S.トレーニングに赴いたのが2006年のこと。ちょうどインジェクション仕様のハーレーモデルが登場しはじめた頃で、今でこそハーレー全モデルがインジェクション仕様になっているが、当時はまだキャブレター仕様が主流だった。「U.S.講習でインジェクションモデルが登場したとき、“これからはコンピューターがセッティングを左右する時代が来るんだなぁ”と感心したものです」と話す。
「お客様によって好みは分かれますが、インジェクションモデルはセッティング次第でハーレーらしい味わい深さを出すことができます。ひとえにアメリカと日本の排ガス規制値の違いから、日本仕様はかなりパワーを抑えられているからですが、考え方を変えれば、好みに合ったトルクや鼓動にしてやれるわけです」
ハーレーダビッドソン小山では、ハーレー購入を決意して来店する方に実際のハーレーを知ってもらうため、まず目の前で現行モデルを始動させるという。そこで違和感を覚える人、また納車後に調子がイマイチだというオーナーの相談から、インジェクションチューニングについての具体的な説明を行なう。
「日本に入ってくる最新モデルはノーマルの状態で細かくセッティングされているため、エアクリーナーを換えたりするとそれだけでバランスを崩してしまいます。年式/車種/マフラー/エアクリーナー/希望の回転数と、これらの組み合わせにベストなセッティングにしてやれば、乗り味は大きく向上します。ただし、当店ではノーマル以外のマフラー交換は扱っておりませんので、そこはご留意いただきたいところですが」
ハーレーダビッドソン小山
店長 古谷野 一洋 氏
1973年生まれ/栃木県出身。長らくH-D正規ディーラーにメカニックとして勤務し、2006年にはメカニック最高の称号である『マスターオブテクノロジー』を取得。現在、ハーレーダビッドソン小山の店長としてハーレーオーナーを全面的にバックアップする。
今や主流となったインジェクションモデルに、チューニングは不可欠となっている。それに合わせてさまざまなチューニング用機器があるわけだが、そのなかでもノーマルのECMの中身を書き換えるフラッシュチューナー ダイレクトリンクを採用している理由はなんだろう。
「利点はいくつかありますが、もっとも大きいのはオーナーの皆さんが求めているパフォーマンスとそれに対する価格のバランスがちょうどいいところです。インジェクションチューニングは高機能なため、各バイクの仕様のデータは細かく作ってますが、どれほど多機能であっても使い切れないのでは意味がありません。“トルクアップしたい”“アイドリングを下げたい”というオーナーが必要としている最低限のパフォーマンスを引き出せるリーズナブルな製品として、当店ではダイレクトリンクをご提案しています」
そこで気になるのは、肝心のパフォーマンスだ。実際、使用前/使用後では乗り味はどこまで変わるのだろうか。
「その変化は顕著で、セッティング変更後に乗られたオーナーは“良くなった!”と声を揃えられます。ミッションを5速に入れて時速80キロぐらいで巡航すると、ダイレクトリンク使用後は走りに粘りが出てくるんですよ。また、ノーマルコンピューターをベースにしているので状況に応じた再セッティングが容易で安価なこと、さらにトラブルコードにも対応できるのは有り難いですね」
さらに、モーターステージではセッティング後2ヶ月ぐらいまでは、再セッティングの無償サービス期間を設けているという。モーターステージとショップがベストと思うセッティングになっていても、車両にも個体差があるのでオーナーが違和感を覚えることがある。こうしたフォローは心強い。
掘り下げればいくらでも可能性が広がるインジェクションモデルだが、多くのハーレーオーナーが求める“ちょうどいいところ”を引き出してくれるフラッシュチューニング ダイレクトリンク。ハーレー本来の乗り味を蘇らせるツールとして注目していただきたい。
気分に合わせてセッティングが変えられる
お手頃価格が嬉しいチューニング機器
ノーマルのECM内プログラムを書き換えるフラッシュチューナー ダイレクトリンクは、スクリーミンイーグル製スーパーチューナーと同等の性能を持ち、手早く書き換え作業が可能なうえ、ハード面での負担が小さいことから各種チューニング機器のなかでもリーズナブルな製品として知られる。再セッティングも容易で安価なことから、そのときどきで自分の好みに合った乗り味を楽しむことができるのだ。
業界屈指のアイディアマン率いる
大阪のカスタムパーツショップ
天神橋商店街のすぐ近くに会社を構えるモーターステージは、ハーレーをはじめとする各種モーターサイクルのカスタムパーツを制作するパーツメーカーである。またショップとしてハーレーカスタム、バイク販売、修理、車検もまじめに行っている。モーターステージの名を広く知らしめた真鍮製エキゾースト「ブラスマフラー」は、アイディアマンである代表の廿枝 正氏から生み出されたものである。