ダブルで装着されるファンが特徴
振動に強くタフな構造でもある
まず特徴的なのは、小型の冷却ファンがダブルで装備されているということである。今までの常識では、もっと大型のファンがエンジンのVバンクの中心にセットされるものが多く、その効果は、前後のシリンダーを均等に冷却できるものなのかどうか疑問視されることもあったのだが、LOVE JUGSはファンをダブルにすることで問題を一気に解消。そしてその性能をさらに進化させたのがクールマスターであるといって良いだろう。
ファンはオリジナルシリーズを上回る毎分8500回転という高速で回転して強力な風を生み出し、しかも必要な電力はダブルでたったの3.2アンペアにすぎない。構造はシンプル、パーツはサビに強いステンレススチール製。タフで、冷却効率を格段にアップさせて登場したクールマスターは、カラーも「クロームフィニッシュ」「グロッシーブラック」「フラットブラック」の3種類から選ぶことができる。つまり、エンジンのカラーリングにマッチしたスタイリングとして、セッティングできるのである。
今回は、取付け車種としてツーリングモデルであるロードキングをベースとしたカスタム車を選び、そのオーナー(櫻井義輝さん)からのコメントもレポートする。取り付けは、ハーレーダビッドソンマルトミ藤沢店。クールマスターの効果は、いったいどれほどのものだろうか。
ハーレーのエンジンは言わずと知れた空冷Vツイン。伝統的に変わらないこのシステムだが、現代の厳しい排気ガス規制もあり、薄い混合比のガソリンでエンジンを回すという、ヒートしやすい状況に追い込まれているのは事実である。特に日本仕様はその条件が厳しく、しかも大都会での交通渋滞は空冷エンジンにとって過酷な環境と言っても良いだろう。それでは、今回テストした櫻井さんに、クールマスターの印象を聞いてみよう。
櫻井:ノーマルエンジンはオーバーヒート対策すべきということもあって、まずインジェクションのチューニングをして、燃調の最適化を図りましたが、都会の真夏はそれでもまだ心配でしたね。だからクールマスターへの期待度は、かなり大きかったです。
ーまずルックスはどうですか?
櫻井:それぞれのファンが小型なので、やぼったくなくて良い印象ですね。それに2つのシリンダーを独自に冷やせるから、効果も上がりそうだと思いました。そして、コンパクトな設計で足に触れることもないので、ライディングには全然支障がないですね。
ーどんな状況で使用されましたか?
櫻井:妻とタンデムでツーリングに行きましたが、渋滞する場面でもオーバーヒートしそうな感じは皆無でした。前後のファン個別にスイッチがあるので、ヒートしやすいリヤ側だけという使い方もできますね。高速道路を降りたら渋滞なんていう場面でも、大きな効果が得られたと思いました。チャプターのメンバーも皆、とても興味を持っていたので、装着車は増えると思います。
実際に装着作業をした現場から
クールマスターの魅力を探る
ツーリングモデルへの装着は、オプション設定されているフレームマウントキットを使っての取り付けとなる。その理由は、エンジンがフレームからラバーマウントされているためで、その振動対策にフレームからのマウントとなるのである。ちなみに、エンジンがフレームとリジットマウントされているソフテイル系はバランサーが内蔵されているため、このマウントキットが必要ない。作業を担当したのは、ハーレーダビッドソンマルトミ藤沢店の工場長である小林亨メカニック。マスターオブテクノロジーと言われる、ハーレーメカニックとしての最高レベルと長い経験を積み上げた人物である。
米国で特許を取得したデュアルファンにより、V-Twinエンジンを効果的に冷却する「LOVE JUGS」。オリジナルのファンは毎分7,500回転に対して、今回ご紹介するCOOL MASTERは毎分8,500回転の高性能ファンを搭載し、冷却効果が格段に向上している。なお、LOVE JUGSの振動を低減するオプションキットも用意されている。