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ビレットパーツを製作しハーレーカスタムを手掛ける部品屋K&W
取材協力/部品屋K&W  写真・文/モリヤン  構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
掲載日/2015年12月9日

ショールームを持たない
徹底的なサービスファクトリー

ストリート系カスタムバイク好きにとって、部品屋K&Wは頼りになる存在である。国産アメリカンバイクやハーレー、そして旧車にも対応する様々なカスタムパーツがカタログにラインナップされているからだ。ショップは、愛知県の名古屋からほど近い安城市に位置し、幹線道路として有名な国道23号線沿いにあるとはいうものの、高架になっているバイパスの脇に存在するゆえに、しっかりと場所を把握しなければ、訪れるのもままならないという立地である。しかも、看板も無くバイクを展示するようなショールームなどもいっさい無い。しかし、大きな倉庫を改装したファクトリーの一階には、様々なパーツを生み出す大型加工機械が数多く据え付けてあり、カスタム車両の製作も、このエリアで行われている。2階はすべてパーツの在庫を抱える倉庫である。ショップ周辺の環境はというと、近くにはやはり大きな工場や倉庫などが立ち並び、住宅地とは距離のある場所である。遠方のライダーは、通販でのやりとりでしかこのショップとの関わりはないのかもしれないが、底力を感じるショップであることは間違いない。

自社工場から生み出される高品質なパーツ

通常のカスタムショップでは
持ち得ない大型加工機械を導入

カスタムバイクを製作する上で最も大切なことは、そのオリジナリティである。すべてをワンオフで製作して、そのデザインや走行性能が優秀なら、多くのライダーに絶賛されるカスタムバイクとなるだろう。ワン&オンリーであることが究極のカスタムであることは間違いない。しかし、求めるものが究極でしかなければ、カスタムという市場は成り立たない。このショップの奥深さは、どんなジャンルのカスタムにも細かく対応できるというパーツの製作と在庫を持っていることにある。

 

既存のパーツでも人気のあるアイテムはどんどんと海外から輸入して在庫する。もちろん選択のコンセプトは、ストリートで輝くオリジナリティを持っていて、クールなこと。パーツが生み出された年代に関わらず、シンプルで飽きのこない優れたパーツを選りすぐってラインナップしているのだ。そして、その他のものは自社工場で製作する。少ないロットでも製作可能なシステムを導入して、自由なデザインから実際のパーツを生み出しているのだ。言うのは簡単だが、そのための設備には最新鋭の大型加工機械の導入が不可欠であり、一般のカスタムショップレベルでは、まず導入することはない。アナログ機械として誰でも知っている旋盤やボール盤などは、一定方向の削り出ししか行うことができない2次元加工機械であるが、金属加工には不可欠のシステムでもあり、まず一般的なショップでも導入されることが多い。パーツの加工や修正などには有効で、駆使すればワンオフパーツの製作も可能だが、その作業効率は前時代的なものである。

 

一台で3次元加工が可能なマシニングセンタと、その右側にはシャーリングと呼ばれる金属板切断機が備え付けられる。奥のボール盤は昔ながらの加工機械だ。

大型の旋盤が置かれた奥には、最新のマシニングセンタがある環境。製作するカスタムバイクもオールドテイストなものからハイテク系まで様々である。

このショップに用意されている加工機械の代表は、3次元設計が可能なCADで作成した設計図から忠実に3次元加工を施すCNCやマシニングセンターと言われる最新の加工機械。ビレットパーツの製作では、その正確さと量産効率において絶対的な存在であるこれらのシステムは、ショップレベルのバイク屋が所有するものではなく、金属パーツの量産試作などを本業とする機械加工工場が使っているものである。その他には、パイプを自在に曲げられるベンダーや、金属板を切断し、打ち抜くシャーリング。そして曲げ加工用のものやパイプ先端の加工専用機械なども導入して、様々なパーツを生み出す原動力となっているのだ。設計試作された多くのパーツは、海外での生産拠点で量産されて、輸入されるというシステムも構築し、完全なるワンオフ製作のパーツから、量産品まで、幅広い対応を実現させている。

 

 

実際にこのショップを訪問してみると、常にこれらの大型機械がフル稼働してパーツを量産し続けているわけではない。むしろ工場の奥で、稼働すべき時期を待ち、沈黙しているようでもある。そして、そのすぐ脇には様々な試作パーツが無造作に置かれていて、このファクトリーが常に新しい試みに対して敏感に動いていることが分かる。

 

普遍的に美しく優秀なデザインには、新旧関係ないオーラがあり、このショップが求めているカスタムシーンの本質は、そんな普遍的なデザインを生み出すことにあるのかもしれない。そのためには最新の機械を導入して自由な発想でパーツを設計し、製品を製作する必要がある。そんなパーツが多くの人々に受け入れられ、日本から新たなカスタムシーンが生まれるのなら、それは素晴らしいムーブメントとなっていくに違いない。

CADで作成した設計図から5軸あるテーブルにて正確な加工を施すCNCという機械。製作できるパーツの加工精度も効率も飛躍的にアップさせることができる。

CUSTOM SAMPLE

幅広いジャンルが魅力の
カスタムハーレー3台

K&W創業当時から、国産アメリカン用のパーツ製作やカスタム車両の製作と同時に、ハーレーのカスタムを手がけてきた。ここに紹介する3台は、どれもこのショップが手がけたカスタムだが、ノーマルベースのものから、アメリカ製カスタムフレームを使用したショーバイクのものまで幅広い。求められるシーンはそれぞれのライダーで大きな違いがあり、どう楽しむかはそのバイクのユーザー次第である。カスタムは自由な発想で楽しむべきものであり、それこそがカスタムの原点であるはずと考えるからこそ、ジャンルを問わない多様性が求められるのである。しかし、たとえベースがショーバイクであっても、普通に走ることを最前提にしていることも重要だ。

 

アメリカでショーモデルとして製作されたニュースクールチョッパーを、K&Wの手でモディファイし、一般公道デビューさせたカスタムバイクである。

走ることを前提としないショーモデルから、トリプルツリーのワンオフ製作などでバランス取りした結果、車検も取得して公道走行可能に。すでにユーザーが走らせている車両なのだ。

フロントフォークはアメリカンサスペンションのオリジナル。ハンドルバーやガソリンタンクはK&Wがワンオフ製作した。

エンジンはレブテックの88キュービックインチ。つまりハーレーダビッドソンではない。マフラーはK&Wがワンオフ製作したもの。

リヤホイールは、アメリカンワイヤーホイールで、120本スポーク、サイズは18インチ、幅10.5Jである。スプローター装備。

ベース車両は2002年のソフテイルカスタム。華奢なイメージの車体にファットなリヤタイヤを組み合わせたクルージングカスタム。

フレームの基本骨格はそのままに、贅肉を削ぎ落したシルエットを手に入れた。スムージングされた各部分に現代的なイメージを感じる。

エンジンはノーマルでS&SのEキャブをセレクト。プライマリーにはアルティマ製ベルトライブキットを使用する。

S&SのEキャブの取り付けステーと、リヤフェンダー、そしてシートはK&Wのオリジナルパーツだ。

10リヤは250タイヤを装着できるアルティマのワイドホイールキット。ボルトオンで装着できる。リヤホイールは18インチの8.5Jである。

11ベース車両はエボリューション初期の1989年型スポーツスター。4速ミッションモデルである。

12元々シンプルでソリッドなデザインと乗り味だが、さらに軽快なイメージを狙ってライトカスタムを施した。

13マフラーはオリジナルの試作品でスチール製だが、製品はステンレス製に改められた。エアクリカバーやブラケットもオリジナル。

14サイドナンバーステーもオリジナルパーツ。シングルシートカウルはアルミのキャスティングでこれもオリジナルパーツである。

15ドラッグバー仕様でシンプルなハンドル周り。スイッチはオリジナルで、配線をハンドル内に通す。レバーはカスタムテック製。

16スポーツスター用カフェシート。アルミ削り出しでポリッシュ仕上げ。価格は71894円(税込み)今回、紹介したスポーツスターカスタムに装着されているものと同じである。

17オリジナルスプロケットブレーキ。スプロケットローターはステンレス(写真はスチール)で製作予定。キャリパーもオリジナル製作されたものである。価格は123600円(税込み)ハーレーの多くのホイールに装着可能。(要問い合わせ)

SHOP INFORMATION

目印は製作途上のバイクと
50年代のアメリカンセダン

国道23号バイパスで蒲郡から名古屋に向かう途中、安城西尾インターを降りてから側道を500メートルほど進むと、左側にある。ファクトリーの隣は和泉公園なので、それを目印にするのも良いだろう。

 

 

部品屋K&W

住所/愛知県安城市和泉町大海古2-12
電話/0566-92-7010
営業/10:00~19:00
定休/無休