ハーレーユーザーのみならず、あらゆるライダーに支持を得るKADOYAは、言わずと知れた革ジャン・メーカー。しかし、日本のバイクシーンとともに歩み続けた同社がこだわるのは決して革ジャンだけではない。ファブリックウェア然り、インナーウェア然り……KADOYAがこだわるのはライダーが求める真価だ。それは品質であり、ファッション性であり、快適性であり、安全性である。そしてそのこだわりは、当然足もとにも及ぶ。今回はKADOYAの数あるラインナップのなかからブーツに注目。その真価を確認いただきたい。
革ジャンをはじめとした良質のレザー製品を通じて、ライダーの安全とファッション性のけん引役を担ってきたKADOYAが、そのこだわりを”足もと”にも求めた結果、生まれたのが「Boots&Boots」シリーズである。
その最大のポイントは国内屈指の技術力を有する安藤製靴(株)が製作を担当している事だ。同社が作るブーツには「ノルウェイジャン製法」という非常に高度で複雑な工程を必要とする製法が用いられており、その頑強さは国内に類のないほど。自然という過酷な条件に打ち勝つ登山靴を得意とする安藤製靴の高い技術が惜しみなく注入されているのだ。そして輸入品と決定的な違いが木型である。甲周りとワイズにゆとりを持たせた日本人の為の専用設計が、重厚な作りを優しくフィットさせる抜群の履き心地を生み出すのである。
さらに革への拘りである。イタリアにおける革産業のメッカ、トスカーナ州で1966年創設の「VESTA 社製のHUSKY OILレザー」を採用。繊細なヨーロッパ産原皮(特にドイツ、フランス産)に拘りそこから作り出される選りすぐりの革である。染色の際化学的鉱物性薬品などは一切使用せず環境へも十分配慮されている。特徴として防水性、断熱性に富み、オイル含有率が高く極厚に仕上げながら柔軟性を併せ持つ。更に表面コーティングを加え外傷が付きにくくバイカー仕様としての耐久性も高めている。当初は堅牢だが確実に馴染んで行き、履き込むほどに自身の足へと一体化が進む至極の革である。
スタイリングだけを見れば、スタンダードなエンジニアブーツ。しかし、素材選びから製法、履き心地まで、細部にまでこだわり抜き、日本の職人が日本人の為に造ったブーツは正に「一生モノ」。愛車のハーレーと同じく、長い年月をともにして自分だけのものにしていく価値は、十分にある。
ノルウェイジャン製靴法:「底部を横と縦に縫い合せる」、甲革材(アッパー)と革中底を横にすくい縫いを行い合亀材(ミッドソール)を縦に出し縫いを行う。すくい縫いで中底の落ちや足の左右の振れを防ぎ、出し縫いで合亀を縫い付け靴全体の一体化を造り上げ底の貼り替えも可能とする。妥協を許さず高い技術力が必要となるが非常に頑強に出来上がる製靴法なのである。切断部で解るがアッパー(甲革)中側にベージュの牛革が内貼りされており、靴内部の滑りや耐久性そして表革からの色移行に備えている。また赤く見える部位は緩衝材が入り、シフトチェンジ用のクッションとなっている。
革は圧巻の3mm厚。たっぷりとオイルを染み込ませることで、柔軟性とコシの強さを両立。履き込むほどに足に馴染んでいく。エンボスで入れられた「Boots&Boots」のロゴが、この”こだわりのブーツ”を所有する喜びを増幅させてくれる。
革の最大の醍醐味といえば、履き込むほどにオーナーの体に馴染んでいくこと。とくにBoots&Bootsのような上質かつ極厚の革を使用したブーツは、非常に良い”表情”を見せてくれる。ここに紹介するのはKADOYAスタッフの私物で、ライディングにも使用しているもの。傷やシワがありつつも、ブーツ自体のコシはしっかりと残り、このブーツだけの表情を作り出しているのが分かる。
シャフト(筒)部の裏面後方には「滑り」と呼ばれる表革が縫いこまれ、その名の通りかかとを滑らせ脱ぎ履きを促す。こうした細かな配慮も日本製ならでは。
味のある風合いは、シャフト(筒)部にあえて裏地を使わず、上質な革を用いているからこそ見られるもの。真鍮製バックルの経年変化も必見のポイントだ。
数あるKADOYAのブーツのなかでも、「KA-G.I.J」は最上級の一足。3mm厚のオイルレザーは前述のとおり、イタリアのVESTA社がなめした上質なもので、ミッドソールとヒールの積み上げにはベルギー産の最高級ベンズを使用。バイカーブーツにふさわしい迫力を演出するとともに、強度と耐久性をアップしている。日本人に合わせた木型によるフィット感も特筆すべき点で、がっしりと足を覆う装着感は安心感を与えてくれる。万が一の際には足を守るためのプロテクターとなるブーツだからこそ、履き心地の良さと安心感は重要なポイント。ライディング時の必須アイテムとなるに相応しい逸品だ。
価格税込:7万5,600円
カラー:ブラック
アウトソールはVibram社製のブロックパターン#1100を採用。KA-G.I.Jが持つ無骨なイメージを決定づけるディテールだ。
コバ部を見ると蝋引きされた極太の糸でソール側とWで出し縫いされ、さらにもう1本中底側をまとめるすくい縫いが伺える。ソール厚/約25mm。
ブーツ本体と足を支えるミッドソール、ヒールの積上げ部はベルギー産の最高級ベンズを使用し強度と耐久性をアップ。ヒール高/約50mm。
「KA-G.I.J/SS」は、革の素材やベルトバックルなどの部材は「KA-G.I.J」と同様で、ソールの厚みを変えたスペシャル仕様。ゴツさが魅力のKA-G.I.Jだが、車種によってはシフトペダルの下に足を入れづらいモデルもあり、対してKA-G.I.J/SSはソールを薄くすることでスムーズなシフトチェンジができるのだ。アウトソールにはU.S Vibram社製Mini Lugソール #430を採用。薄くてもしっかりとグリップし、ライディング時はもちろん、タウンユースでも快適に使用することができる。もちろんミッドソールやヒールにはベルギー産最高級ベンズを使用しており、耐久性や高級感が確保されている。
価格税込:7万5,600円
カラー:ブラック
薄いながらもグリップ性に優れたU.S Vibram社製Mini Lugソール #430を使用。車種を選ばず、快適なライディングが楽しめる。
出し縫いもシングルでスッキリまとめられ、形状・カラーとも軽快な印象となった足周り。ソール厚/約15mm
ヒール部はベルギー産最高級ベンズを採用。KA-G.I.J/SSではエグリを入れることで、スタイリッシュな印象を強めている。ヒール高/約50mm。
20年以上もモデルチェンジなしで人気を確保し続けるロングセラーモデル、「BLACK ANKLE」。ポイントはリアエントリーシステムによる脱ぎ履きのしやすさに加え、ライディングブーツでありながら歩きやすさにこだわった足首のシャーリングやオリジナルソールなど、タウンユースも意識した仕様にある。もちろんインナーパッドやインナーチェンジパッドなど、ライディングブーツとしての機能性も高く、オールマイティーに履きこなしたいライダーにとくにオススメしたい逸品である。厚底仕様の「BLACK ANKLE-A」もあり、足つきが気になるライダーはこちらにも注目!
価格税込:2万5,704円
カラー:ブラック
価格税込:2万7,864円
カラー:ブラック
BLACK ANKLE
BLACK ANKLE-A
KADOYAオリジナルの「トレックバイカーソール」、ライディングからツーリング先での歩行性まで機能を盛り込んだ秀逸なソールデザイン。
脱ぎ履きを容易にするリアエントリーシステムは、ベルクロベルトの調整で好みの位置に足首をしっかりとホールドしてくれる。
前後足首部には形状の異なるシャーリングを配し運動性を、脛部・踝部にはパッドを内蔵し、安全性を高めている。