冬……寒空の下で、バイクを見かける回数はめっきりと減る。この季節、寒さという大敵を前に、誰もがマシンにまたがることを面倒に感じ、バイクと疎遠になりがちだ。そうやって、寒さを理由に冬のライディングをあきらめてはいないだろうか?
でも、ちょっと待ってほしい。空冷・大排気量のハーレーにとって、実は冬こそ絶好調の季節なのだ。ツーリングに出かけても、空気が澄んで景色がきれいに見えるし、食べ物だってうまい。冬は、バイクの醍醐味を実感できる季節でもあるのだ。「寒いから乗らない」じゃもったいない。防寒対策を完璧にして、ウインターライディングをとことん楽しもう。
VIRGIN HARLEY.com編集部
田中宏亮 2008XL1200R
ハーレーに乗るからには、人もマシンも季節を問わずカッコよく決めたい、というのがポリシーだという田中さん。冬はどうしても厚着になるため、スタイリッシュさに欠けるのが悩みのタネ。カスタムマシンに合うシルエットのウエアがほしい……。
HOTBIKE JAPAN.com編集部
成田恒一 1957FLH
オールドハーレーをこよなく愛する成田さんにとって、冬はライディングに最適な季節。夏はオーバーヒート気味のマシンも、寒い時期だとエンジンを回してもすこぶる快調だからだ。でも、寒さに体が負けてしまい、距離が伸びないのが悩み……。
ヒーテックシリーズ最大の特徴は、スイッチを入れてからわずか10秒で暖まるという、独自開発のメタルファイバーヒーターだ。これは、今までの製品にありがちだった電熱線による発熱と違い、ウエアに内蔵された生地が全体的に暖まるという、最先端のヒーティングシステムとなっている。そのため、より広い範囲を素早く暖めることが可能になった。その早さは、暖機によってマシンが暖まるよりもはるかに早く、ライダーを包み込んでくれる。
ヒーテックは薄くて柔らかく、とても軽く作られた布状のシステム。生地に内蔵されているメタルファイバーヒーターは、薄くて細いラインが無数に入っているもので、しなやかな着心地を損ねることなく、ウエア全体を快適な温度へと暖めてくれる。また、ウエア自体の保温性が高いため、熱が逃げにくく、効率の良い暖房が可能となっている。
今期は従来あったヒートインナージャケットが、新登場のワイヤレスリモコンに対応するなど大幅にリニューアル。また、ヒートインナーパンツ、ヒートインナーベストも新たにラインナップに加わるなど、システムでの使い勝手や着心地が大幅に進化した。
10秒で暖まるという瞬間発熱を可能にしているのが、ウエアに内蔵されるメタルファイバーヒーター。細く、薄いラインが無数に入っており、効率よく広い範囲を暖めてくれる。
ハンドルにマウントできるワイヤレスリモコンは、ジャケットやベストに標準で同梱される。ウエアのスイッチを操作しなくても、ジャケットやパンツを一括して、3段階の温度調節が可能。
使い勝手から着心地まで、従来モデルを徹底的に分析し、改良したニューモデル。しなやかさと軽さはそのままに、ワイヤレスリモコンに対応したほか、便利なプッシュ式スイッチを装備するなど、全面的に生まれ変わった。ファイバーヒーターは胸、背中、両腕、首元など計6ヶ所に配され、全体に暖かさを確保。
今回は、ヒーテックのインナージャケットとパンツ、さらにグローブを着用して、日増しに冬が近づく奥多摩方面へとスポーツスターのステアリングを向けた。インプレに使用した商品はジャケット、パンツともにインナーとして使用するタイプで、薄くしなやかで体にとてもフィットし、アウターに影響しない。また、事前の準備はバッテリーに接続コードをつないだことと、ハンドルにワイヤレスリモコンを装着しただけで、あっという間に終わってしまうほど簡単だった。
走り出してすぐに気がついたのが、体全体の動きやすさと軽さだ。ハーレー乗りに限らず、ライダーなら誰しも経験しているのが、冬装備によってモコモコになってしまうウエアのシルエットだ。上半身は化繊のインナーの上にフリース、さらに中綿の入ったジャケットなどを着用すると、どうしても着ぶくれ状態になる。下半身も、オーバーパンツを履けばそれだけでスマートさが失われてしまうもの。だが今回は、上半身はロンTの上にヒートインナージャケット、そしてアウターに革ジャンを着込んだだけ。下半身も、ヒートインナーパンツとジーンズのみと、非常にスマート。ヒーテックはジャケットもパンツも薄く、しなやかなため、肩や肘、膝など、いつもの冬装備なら動かしにくいな、と感じる部分がとても軽快で気にならない。休憩時にコンビニのウインドウに映る自分の姿を見ても、厚着をしている感じはまったくなく、スタイリッシュ。これは正直なところ、かなりうれしい。周囲の着ぶくれしたライダーに、ちょっとした優越感を覚えるほどだ。
再び走り出すためにマシンにまたがり、エンジンを始動させると同時に、ヒーテックのスイッチを入れる。するとわずか数秒で、すぐにほわっと体が暖かくなる。カタログでは10秒発熱とうたっているが、体感的にはもっと早い印象だ。スピーディでストレスのない暖まり方は、一度経験するとクセになる。
道は徐々に山深くなり、標高を上げていく。それとともに気温もグッと下がって冷え込んできたが、そんな時に便利なのが、ハンドルバーに装着したワイヤレスリモコンだ。このスイッチを押すだけで、ジャケットとパンツの温度調節が一括してできるので、気温の変化に素早く対応できる。もちろん、上半身と下半身を別々の温度に設定したいときはジャケット、パンツともにそれぞれスイッチがあるから安心だ。グローブはワイヤレスリモコンに対応していないが、体にくらべて手だけを強めの温度にしたいときも多いので、むしろそのほうが合理的な設計だといえる。
ふと気がつくと、かなりの距離を走っていた。いつもなら寒さに体が負け「もう引き返そう」となる地点を、いつの間にか気づかずに過ぎてしまっている。それはやはり、ヒーテックのおかげで全身が快適だからだろう。「寒くない」というレベルを超えて「暖かい」のだから、どこまでも走るぞ、という気にさせてくれるのだ。そういえば休憩のタイミングも、自然と少なくなっている。いつもの冬なら、空冷のマシンは寒い時期のほうが調子がいいし、気持ちとしてももっと走りたいのに、手先や体が冷えて耐えられず、つい休憩が多くなっていた。それが、長時間走り続けても苦痛でなく、むしろ楽しいんだから、バイク乗りとしてはたまらない。
「これからは、冬のライディングをあきらめなくていいんだ……」。そう気づいたら、思わずヘルメットの中で頬が緩んだ。こいつと一緒なら、どこまでも、いつまでも走り続けることができる。冬のライディングの悩みをすべて解決してくれる心強い味方であり、相棒。そんなヒーテックに出会えたことに、心から感謝した。
車体接続コードは、バッテリーの端子に共締めするだけ。電気に詳しくなくても簡単に装着できる。円形端子は一度締めれば不意に外れる心配もないし、もちろんヒューズを内蔵。安心できる設計だ。
新たに登場したワイヤレスリモコンは、ハンドルバーにマウントを装着する仕様。ボタンは大きく押しやすく、強中弱の3段階切り替えができる。ランプの色で現在の設定を確認できるし、いつでも好きなタイミングで温度調節が可能なのはとても便利だ。
ヒートインナージャケットはただのウインドブレーカーか、と思うぐらい薄くてしなやかな作りだ。そのため、中に着込んでもアウターに影響せず、スタイリッシュなシルエットを約束してくれる。
ジャケット、パンツともにストレッチ素材を配し、運動性を確保している。特にパンツは裾部分がループ状になっており、走行中にズリ上がりを防止。ライダー心をくすぐるうれしい配慮だ。
冬のライディングでは特に冷たくなる指先を効果的に暖めてくれるグローブ。ジャケットとの接続もワンタッチで簡単だ。防風・防水効果の高いアウターと、ファイバーヒーターを内蔵したインナーのセットとなっていて、もちろんインナーだけで使うこともできる。
最大54°Cをほこるメタルファイバーヒーターのパネルを、襟にも全面的に使用。素材は暖かく肌触りのいいフリースだ。首は人体の中でも血液が一番たくさん通るところ。だから、首を暖めれば暖かい血液を全身に送ることができ、体を内側から暖められるのだ。人間の体の仕組みにかなった効果的な方法といえる。
カーナビやスマートフォンを使う人も増えた昨今では、マシンにシガーソケットを装備している人も多いはず。このコードを使えばワンタッチで電源が確保でき、手間いらず。特に複数台所有している人にお勧めしたい。
ヒーテックには女性用モデルも用意されている。男性用モデルよりもウエストがタイトなシルエットとなり、手首部分は肌触りのいいリブが採用されている。専用モデルだけに女性の体に抜群のフィット感を実現している。