ハーレー好きのみならず、アメリカンカルチャーをこよなく愛する人ならば「ルート66」の名を耳にしたことがあるだろう。ルート66は、シカゴからロサンジェルスまで、アメリカ大陸を斜めに横断するように走る、アメリカを代表するヒストリックルートだ。その全行程は約4000kmと非常に長く、この道を送破しようと思うと、まとまった休暇を取得して渡米する必要がある。「いつかこの道を走破してみたい」そう夢見ても、なかなか実現できない人がほとんどだろう。しかし、この道の走破を企画し、実行に移すハーレー乗りは日本にもいる。京都府に住むハーレー乗りの有志だ。アメリカツアーに長けた旅行会社「(株)ボーダレス」にコース設定などを依頼し、2008年9月24日~10月5日まで、12日間の強行軍でルート66走破にチャレンジしたのだ。ルート66を走るのは、もちろんアメリカ生まれのハーレーで行う。ルート66のような道を走るために、ハーレーは生まれ進化してきたからだ。それでは、当編集部員が同行した「ルート66ツーリング」の魅力を紹介しよう。
ルート66は数々の映画や小説、音楽の歌詞に登場する、アメリカを代表する道の1つで、戦前から多くのアメリカ人に愛されてきている。ルート66とは単なる道の名前ではない。何十年にも渡って多くの人が往来し、そこから無数の物語が生まれた。そして、現在では「旧き良きアメリカ」を喚起させる特別な言葉へと変化してきている。そもそも、ルート66はシカゴからロサンジェルスを結ぶ産業道路としてアメリカの経済を支えてきた道だったが、インターステートハイウェイなどの高速道路の発達により、現在は産業道路としての役割を終え交通量もまばらになっている。しかし、どこまでも続く広大な荒野や畑、地平線の先まで続く道、ロードサイドにあるノスタルジックな町並みなどが、アメリカ人のみならず世界中の人の心を捕らえ、現在は観光道路として人気が高まってきている。
ルート66が整備されはじめたのは1926年のこと。年々少しずつ整備が進み、最終的には全行程で約4000kmと日本縦断より長い距離の道路となった。ただし、ルート66は1本の道ではない。町の衰退や都市の拡大に応じて廃線や経路変更などが行われ、現在我々が辿ることができるルート66は複数の道を繋ぐ総称となっている。旧国道やフリーウェイ、住宅街を抜ける道など、大小さまざまな道で構成されているのだ。このツアーはシカゴ側からスタート。ルート66のスタート地点はシカゴのビジネス街の中心にあるが、すでに産業道路としての役割を終えている道のためか、スタート地点の小さな標識は街中にひっそりとたたずんでいた。シカゴを離れてしばらくは交通量の多い道が続くが、しばらくすればのどかなアメリカの景色が眼前に広がりはじめる。ルート66上で見られる景色には変化が少ない。何時間も同じ景色を眺めながら走ることなど珍しくない。しかし、その景色の変化の少なさがアメリカツーリングの魅力でもある。頭の中を空っぽにし、眼前に広がる景色を見るともなく楽しむ。日本に置いてきた仕事のことなど、すっかり脳裏から消え去り、身も心もあらゆる緊張から解放されるのだ。車が多く、信号やカーブが続く日本では視界に入る情報が多過ぎて、ルート66と同じように無心で走る道はほとんどない。雄大な景色に加え、ただ無心になって走ることができるのもルート66の魅力と言えるだろう。下記がルート66上の景色の一部だ。写真では現地の空気までは伝えきれないが、その魅力の一端を味わって欲しい。 | ビジネス街の中心にひっそりとあるスタート地点の看板 ゴール地点はLA郊外のサンタモニカビーチにある |
ルート66を走るもう1つの魅力、それはアメリカ人の日常生活に触れることができること。ロサンジェルスまでの道中では、小さなものを含めると何百という町を通り過ぎる。観光地となっている町もあるが、住宅街の中を通る道もあり、アメリカ人の日常生活を垣間見ることができるのだ。学校帰りの学生、自宅前の庭でのんびりと遊ぶ子供たちなど、フリーウェイや一般国道を走っているだけでは見ることができない景色が広がっている。日本で県道を走り日本縦断を行うことを想像してもらえればイメージしやすいかもしれない。また、その道中に立ち寄る食事や休憩スポットでのコミュニケーションも面白い。現地の人は気さくに話しかけてくることが多く、こちらが拙い英語で話してもちゃんと話を聞いてくれる。「どこから来た?」、「俺もハーレーに乗っているんだ」など、飾り気のない、素のアメリカ人とのコミュニケーションは忘れ得ぬ思い出になるはずだ。さらに、現地のバイク乗りや同じく海外からルート66を走りにやってきたグループとの出会いも頻繁にある。そういった出会いが、このツーリングをさらに味わい深いものに変えてくれるのだ。
これまでアメリカを訪れたことがない人でも、ルート66のようなアメリカのカントリーロードの景色を頭に思い浮かべることができる人は多いだろう。TVドラマや映画、雑誌の記事などで頻繁に取り上げられるからだ。と、なると「別に走りにいかなくてもいいだろう」と思うかもしれないが、それはまったくの勘違いだ。映像や写真ではあの空気感は伝えられない。今回の記事でもできる限り臨場感のある写真を、と思っているが、それでもナマのアメリカを100%伝えるのは不可能だ。カラカラに乾いた空気、朝晩は冷え日中は真夏のように暑くなる気温、行けども景色が変わらない広大な大地…これらはすべて実際に走り、自分の目で確かめないと、その魅力は伝えられない。また、ルート66の魅力は車よりバイクで走る方が100倍楽しい。砂漠地帯を走っていると、匂いはあるようでない。日本だと排気ガスの匂いやかすかな植物の香りなど何らかの匂いが漂ってくるが、それすらないエリアもあるのだ。そんなルート66の走りっぷりをいくつかの走行写真で紹介しよう。自分が走っている姿を重ね合わせて、雄大な景色を想像してみて欲しい。
こういったアメリカツーリングは参加するのに多少の準備と覚悟が必要だ。お盆休みや正月など旅行シーズンに企画するのも可能だが、航空チケットなどのコストは高くなってしまうため、大多数のアメリカツーリングはオフシーズンに企画される。そのため、仕事の休暇の調整など、周りに気を遣わなければならないことは多い。今回のルート66ツーリングは一般より長い、12日間という長期間の日程となっていた。参加者は誰もがかなりの苦労をしたことだろう。この手のツアーの参加者は裕福だと思われがちだが、決してそんなことはない。この記事を見ている人と同じ、一般の人たちだ。彼らがそこまでしてこのツアーに参加したかった理由とは何なのだろうか? 実際にルート66を走り抜いて何を感じたのだろうか? ツアーも終盤に差し掛かり、アメリカの陽射しにほどよく焼けた頃にこのツアーの魅力を聞いてみた。
鎌田さん このツアーに参加するために1年前から職場の同僚に了解を得ていました。その分、休日出勤もいとわず仕事は人一倍頑張りましたよ。ルート66を走りいろいろなモノを見た感動もありましたが、一番良かったのは一緒に走った仲間との絆が深まったこと。12日間一緒に走り、食事をし、同じ宿に泊まることで、これまで以上にお互いの理解が深まった気がします。今後もまた参加したいですね。 | 小柳さん 4回目のアメリカツアーですが「年齢・体力的にもこれが最後かも」と思って参加しました。今は疲れでいっぱいですが、日本に帰ってしばらくするときっと4400kmを走り抜いた達成感を感じることでしょう。「最後だから」とずっと走りたかったルート66を最初から最後まで走りましたが、憧れていた道を走ってしまったので、これから先の目標が無くなったのが心配です(笑)。 | 高橋さん 過去5回開催されたツアーにはすべて参加し、今回のルート設定にも少し関わらせてもらいましたが、今回のツアーでひとまず一区切りをつけようと思っています。一番お気に入りなのはアリゾナ州の道ですが、どのルートもこれまでのツアーの集大成だと思えば感慨深いルートでした。一人ではなく、気心の知れた仲間とルート66を走ることができたのが一番のいい思い出です。 | ||||
小石原さん ルート66にはずっと興味があり、これまでアメリカを走ったことはありませんでしたが思い切って参加してみました。出発前にパンフレットやDVDをチェックし、どんなところかイメージはできていたつもりでしたが、実際に走るのはやはり別物で、参加してよかったです。ルート66の魅力は道中の観光スポットより、走った道でした。日本にはない荒野を風を受けて走るのは最高。また参加したいです。 | 磯井さん、熊谷さん アメリカツアーに参加するのはこれで3回目。少し前まで体調を崩していたので、交代しながら乗るこのツアー形式はちょうどよかったですね。今回の行程の中には過去に走ったことがあるルートもありましたが、何度訪れてもやはりいいものです。一緒に来た彼女も楽しんでいたようです。免許がない人でもサポートカーに乗ったり、たまにタンデムさせてもらったりと楽しめると思いますよ。 | 川瀬さん このツアーは息子からのプレゼントです。「いつか走りたい」と思っていたものの、こんなツアーがあるとは知らず、2つ返事で行くことにしました。ルート66は交通量が少なく気持ちよく走ることができました。ひたすら続く一直線の道には、涙が出るほど感動しましたね。日本でも海外でも長距離ツーリングもしたことがありますが、このツアーが文句無しでNo.1の走行距離で楽しいツーリングでした。 | 荻野さん 川瀬さんに誘われて参加することに決めましたが、生まれて初めての海外旅行がこのツーリングだったので、少しだけ不安がありました。初日は日本とは違うこちらの交通ルールに緊張しましたが、2日目以降は慣れアメリカの道を楽しむことができましたね。日本では考えられないほどの距離を毎日走っていましたが、不思議と疲れは感じない。信号や対向車が少ないから快適だったんでしょうね。 |
アメリカでツーリングを楽しむためには、フリーウェイ(高速道路)以外の道を走りましょう。インターステイトと呼ばれるフリーウエイの幹線道路は、交通量が多く、大きなトラックが高速で走って来るのでハーレーで走るには実は危険なのです。マイペースでハーレーの鼓動や景色を楽しみながら走るには、インターステイト以外の道を走ることをお奨めします。長年ツーリングのサポートをしてきましたので、どの道が安全に景色を楽しみながら走ることが出来るのかを、常に研究して実績を重ねています。「ハーレーでアメリカを走ってみようかな?」そう思った方は、いつでもご相談ください。最高のツーリングコースをご提案します。2名以上のグループでしたら、ご希望の日数や予算に合わせて自由にツアーを設定することができます。
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