もっと深くハーレーを知るために
アメリカを走る――という選択肢
ハーレーダビッドソンは、アメリカという国が生んだモーターサイクルである。
いろんな国のいろんなモーターサイクルメーカーに特色があるように、ハーレーダビッドソンも他メーカーにない魅力を持っている。独特の鼓動感、アメリカンと称されるスタイリング、ビッグツインに代表される大排気量エンジン……。すべてがひとつのバランス感覚のもとにまとめられ、モデルの違いこそあれどモーターサイクルとして形成され、私たちの人生を豊かにする特別な存在として、世に送り出されている。そうした要素は無意味に作り出されたものではなく、確固たる理由があって生み出された。
「アメリカという広大な国土を横断するためのモーターサイクルを」、すなわち“大陸横断バイクを作る”というのがその理由である。開発コンセプトと言い換えてもいい。「いかにアメリカを走り切るか」、そうした土台があって生み出された数々のハーレーダビッドソンを、日本という枠の中だけで見極めようとしても、その本質はなかなか見えてこない。
ハーレーダビッドソンをより深く知るためには、アメリカを走るほかない。 |
| モーターサイクルがカルチャーとして根付いている国、アメリカ。ここを走らずして、今以上にハーレーダビッドソンを知ることはできない。 |
アメリカにおけるモーターサイクルの地位は、日本のそれとはずいぶんと異なる。ルート66の名所の至るところに HARLEY-DAVIDSON のエンブレムが描かれ、駐車スペースなどモーターサイクルのためのスペースが整備されており、街行く人々がライダーに向けるまなざしには羨望と敬意の光が宿る。ライダー同士がすれ違うときには、必ず「グッドラック」のサインが返ってくる。ハーレーダビッドソン、いやモーターサイクルがカルチャーとして根付いているその空気感は、とても言葉で伝えきれるものではない。アメリカは、ハーレー乗りにとって天国とも言えるところである。ゆえに、ハーレーの本質を知るためには、実際にハーレーでアメリカを走ってみるほかない、という結論にたどり着いてしまうのだ。
もちろんこのアメリカツーリングというのは、誰もが気軽に手を出せるほど身近なものではないことは重々承知している。が、今しか感じ取れない、今だからこそ感じられる価値がこの旅にはある。それがたとえ一週間ほどのツアーだったとしても、「正直なところ、アメリカツーリングってどれほどのものなの?」という言葉を霧散させてしまうほど、日常をはるかに超えた体験が確かに待ち受けている。「もっともっとハーレーのことが知りたい」という方には、あえて「行くべき」という言葉を投げかけよう。きっと帰国した後、自身の愛車との向き合い方が変わることだろう。
行けば分かる、行ったからこそ分かる、ハーレーダビッドソンの本質。
今しかできない未知なる世界が、ここに広がっている。