V-RODは造形からして他のファミリーとは違う。生まれ持ったノーマルのスタイルで充分に人目につくモデルだ。エンジンのデザイン、極太のタイヤサイズ…ハーレーのみならず、他メーカーのバイクを見渡してもV-RODほどの個性を持つバイクは見当たらない。そのためか、なかなか思い切ったカスタムは見られないが、ヨーロッパではV-RODをターゲットとしたパーツの開発は進んでいる。日本では限られたショップしかチャレンジしていないように思えるV-RODだが、そのカスタムは思いのほか、奥深い。日本で手がけられたV-RODの代表的なカスタムを紹介しよう。
ディープフレークパールパープルのカラーは光を受け、表情が変わる
V-RODの造形を頭に思い描いて欲しい。TRIJA製作の「リヴァイアサン」と名づけられたこの車輌、ノーマルの面影は確かに残っているものの、より戦闘的でエキセントリックなスタイリングが実現されている。驚かされるのが、ハーレーではまずお目にかかることがない片持ちのスイングアームだ。このアルミ製スイングアームを開発したのはドイツのRick’s。280mmと300mmのワイドタイヤ用のラインナップしかなく、選ばれし車輌のみが取り付けられるアイテムだ。また、同じドイツからやってきたNLC製のラジエーターカバー、タンクカバーもまずお目にかかれないモノ。しかし、特筆すべきなのは、ワンオフで製作された金属板金の数々だ。うろこ状に見えるカバー類は、むしろ装甲と呼ぶに相応しい。既製品のパーツだけでは決して実現し得ないこのスタイルは、V-RODというデザインに優れた素材とTRIJAの創造力のタッグがあってこそ完成し得たモノだろう。
リア周りが豪華で主張が強いため、全体のバランスをいかに取るのか、プロデューサーとしてチャレンジし甲斐のあるカスタムでした。フレームは純正のモノを活かし、ワンオフのように見えるマフラーも実は純正マフラーをベースに製作されています。他にこだわったのはカスタムペイント。ブラックのように見えるカラーは光の加減によって、ブルーやレインボーカラーが浮かびあがってくるんですよ。(TRIJYA 代表 岡本 佳之さん)
高年式モデルの代表的なカスタムをファミリー別に紹介してきたが、どのファミリーでも個性溢れるカスタム車輌が製作されている。コンストラクターの持つ経験、技術、イマジネーションがオリジナリティに富むカスタム車輌を生み出しているわけだ。ただし、高年式車輌は排気量の増大や、装備する機構の進化によって、旧来のモデルにはなかった、カスタムの注意点がある。その代表的な例を紹介するので、カスタムの際の参考にして欲しい。どこが注意すべきなのか、ポイントを押さえておけば車輌の完成度はグッと上がるはずだ。
排気量が大きくなった分、エンジンが大きくなってしまうのは当然のこと。車体をいかにコンパクトに見せても、エンジンの大きさが強調されてしまうこともある。エンジンの大きさを活かすか、ブラックアウト化などで小さく見せるか、工夫を凝らす必要がある。
近年のハーレーではタンクとフレームの間に多くの配線が隠されている。ノーマルのタンクをそのまま使う分には配線類が目立つことはないものの、スモールタンクを取り付ける際には配線処理が完成度を大きく左右する。手間はかかるがフレーム内部に通す手法もある。
モデルチェンジの頻度が多いのが最近のモデルの特徴。以前なら同じエンジンであれば共通するパーツも多かったが、近年のモデルの場合、年式によってパーツの適合が複雑に変わっている。ただし、加工すれば取り付けられるモノも多いため、ショップに相談してみるといいだろう。
スモールタンクを取り付ける際にもう1点注意すべきなのはフレームの先端であるネック部分。ここは安全性に大きく関わる部分で排気量の増大とともに強化されてきた。同色のタンクを取り付けて目立たなくするなど、工夫を凝らし、ネックの太さをいかに目立たなくするのか、もポイント。
今回の記事ではあえて21世紀に入ってからのカスタムハーレーを取り上げた。エボリューションやショベル、その他ヴィンテージモデルにも劣らないカスタム、21世紀のハーレーでなければなし得ないスタイルがあることはわかっていただけたかと思う。ハーレーの魅力の1つである「カスタム」。現行のハーレーでもその魅力は十二分に持っているのだ。「現行モデルではカスタムに制限がある」そう思っている人がいるならば…それは旧来のカスタム手法で、21世紀のハーレーを見ているのだ。時代時代によってカスタム手法は変わり、進化を遂げる、その点を踏まえてカスタムの魅力に夢中になって欲しい。
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