リアサスペンションをフレーム下に隠す“リジッド風の”ソフテイルフレームが採用されたソフテイルファミリー。フレームの美しさからカスタムには最適なファミリーと言えるだろう。世界的なカスタムカルチャーの盛り上がりにメーカーも注目しているのか、ツインカム登場後に徐々にリアタイヤはワイド化され、かつては高嶺の華だった200mmワイドタイヤまで純正で採用されるようになった。リアの太さを活かし、さらに太くして迫力を出す手法もあれば、初期のツインカムモデルの(現行に比べれば)細いタイヤをあえてチョイスする方法もある。この美しいラインを描くフレームで、どのようなカスタムスタイルを実現するのか。ニュースクールからオールドスクールまで、いかようにもスタイルを形作ることができるため、カスタムを念頭に置き車輌を購入するユーザーに選ばれることが多いファミリーだ。
フルカスタムと言っていい内容ながら、上品にまとまったスタイル
現在はラインナップから無くなってしまったソフテイル・デュース、それをベースにしたフルカスタム車輌がこの「プライムデュース」だ。登場当初はノーマルでは最もワイドな17インチ160mmタイヤが採用されていたが、躊躇なくホイールサイズを変更、18インチ240mmのワイドタイヤが履かされている。フレームからタンク、フェンダーまでディープオーシャンブルーに統一されたカラーリングは、随所におごられたクロームとのマッチングも抜群。明るい色あいながら、フルカスタム車輌にありがちな主張の強さがまったく感じられない。マフラーやフェンダー、シートなどワンオフパーツに溢れ、見るべき点が多い車輌だが、一際目を惹くのは車用のウェーバー製ダウンドラフトキャブレターだ。ファンネルが天を向いた取り付けにこだわり、キャブレタースペースに合わせワンオフのタンクを製作。迫力あるキャブレターながら、車輌全体のラインを崩すことがないところにセンスが光る。
この車輌を製作したのはしばらく前になりますが、時間が経っても古さを感じさせないカスタムです。デュースがそもそも持っていたスタイリングとクロームの質感の良さ、それを崩さないよう苦労しました。カスタムパーツが少なく、触りにくいと言われていたデュースですが、デュースがベースだったからこのスタイルが完成したと言えるでしょう。ソフテイルFXシリーズの理想的なスタイルの1つですね。(Device CUSTOM WORKS 代表 大谷 欽洋さん)
W&S製VLスプリンガーレプリカをスペーサーを継ぎ足して取付けている
アップスウィープマフラーを装備したコンパクトなチョッパー。ノーマルのFXSTの主なパーツをごっそりと入れ替えているように思えるが、実はノーマルのパーツをうまく活かされたカスタムだ。スタイルの核となるパーツ、スプリンガーフォークやタンク、ワンオフマフラー、サドルシートなど、目立つパーツこそ変更されているものの、ノーマルのベルトドライブやヘッドライトはそのまま使用されている。あらゆるパーツを交換し、スタイルを変化させるのは難しいことではない。使えるものをいかに残すか、そもそもチョッパーが世に生まれた頃に行われていた創意工夫が凝らされたチョッパーなのだ。また、実際にオーナーが乗り、長い距離を走ることを考えたVEGAS流の工夫はシートに見られる。同形状のサドルシートが複数ある中で、クオリティの高いV-TWIN製のモノを選択。やや大柄なシートを選ぶことでシート下の角パイプフレームをうまく隠すことも狙ったチョイスだ。
ソフテイルフレームはそのフレーム形状からエボリューション時代と似た手法でカスタムができます。ただ、タンクを使ってうまく隠したい部分もありますね。最近はコンパクトに見せたいという要望が多いですが、フレームは小さくできませんので、前後サスの長さを短くすれば小さく見せることは可能です。ヘッドライトなどのステーをボディにできるだけ近いところに持ってくるのもコンパクトに見せる手法ですね。(VEGAS MOTORCYCLES STAFF 斎藤 徹さん)
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