シンプルなスタイルを持ち、ビックツインの中ではもっともスポーツ性が高いのがダイナファミリー。定番のカスタムはローライダーのイメージを発展させたドラッグレーサー風カスタムだろうか。FXDやFXDCなら、高い車高を活かし、スポーツできるビックツインを目指す、FXDBならチョッパー風なども人気だ。ノーマルの良さをうまく活かすのなら、こういったカスタムになるだろうが、スポーツスターファミリーと同様、ダイナファミリーもどんな方向にもカスタムできるポテンシャルを持っている。ツインカム88→ツインカム96と進化する中で、タイヤサイズが太く、ネック部分などフレームが太くなってはいるものの、それが原因でカスタムに制限が加わっているわけではない。それでは、ダイナファミリーのイメージを一変させるカスタム例をご紹介しよう。
フレームに手を入れることなく、ワイドグライドの雰囲気が一変
このワイドグライド、フレームには一切手を入れず、ここまでのスタイリングの変化を実現している。大柄なフロント周り、タンクが取り外され、オーナーが思い描くチョッパースタイルに着手。スプリンガーフォーク用に加工を施した純正スポーツスタータンクをマウント、スカイハイバーと組み合わせ、一見するとベースがワイドグライドではないような印象を受ける。苦労を重ねたのはリアフェンダーと配線の処理。リアフェンダーは市販品にはダイナのリア周りに幅が合うものがなく、ワンオフで製作されている。配線については各写真をじっくりと見て欲しい。ツインカムの登場以来配線の本数が増え、カスタムの際は「いかに配線をうまく処理するのか」が、完成度を大きく左右するポイントになった。ハンドル周りの配線をシンプルに、タンク下を通る配線まで美しく処理されているのはさすがというべきか。外装類に描かれたYUSUKE氏によるエアブラシの繊細さは見る者の目を奪う完成度だ。
配線の処理や太いフレームをどうスッキリと見せるか、苦労する点も確かに多いです。しかし、ツインカムを多く触るにつれ、それまでのエンジンにはない良さが見えてきました。シリンダーがメッキされていて、ピストンが鍛造、ロッカー周りの整備性や強度も向上しています。この信頼性の高いエンジンで理想のカスタムを完成させたら10万km以上だって安心して乗ることができるでしょう。(SHIUN CRAFT WORKS 代表 松村 友章)
ポジションをミッドに変更し、トランプ製KING&QUEENシートで乗り心地も◎
オーナーはアメリカの著名なコンストラクター、故「インディアン・ラリー」の熱狂的なファン。事故を機に思い描いていたカスタムがはじまった。まず注目したいのはエンジン周り。ローランドサンズデザインのアルミ製ロッカーボックス&タイミングカバーだ。エンジンからはまるでヴィンテージモデルような印象を受ける。どれほどカスタムを進めてもエンジンのルックスはそのままの車輌が多い中、カバー類の変更だけでこれほどルックスの変化が獲得できるのだ。マスタングタンクに変更されたことで、ノーマルの印象が無くなっているように見えるが、この車輌の秀逸な点はノーマルに劣らない快適さが確保されていること。リアサスこそ短いモノが取り付けられているが、シートはトランプ製King&Queen、フットポジションはミッドコントロールに変更され、日本人に合ったポジションが実現されている。ノーマル以上に快適、そんなチョッパーはなかなか見られるものではない。
チョッパースタイルにカスタムしようとすると、個性を主張する部品点数が少なくなってしまうので、キャラクターの強いパーツチョイスを意識しています。ドッグボーンライザーやローランドサンズのカバーで古さを演出。全体的にオールドスクールな手法を取っていますが、タンクにはPOPなデザインを取り入れ、シルエットはオールドスクールながら新しい方向性も提案してみました。(VEGAS MOTORCYCLES STAFF 斎藤 徹さん)
ユーザーインプレの投稿を募集!
そのまま下取りに出すと損なことも