カスタムショーの出展車輌やメディアで紹介されるカスタム車輌に目を向けると…少々旧車のカスタムが多すぎやしないか。ショベルヘッドやパンヘッドのカスタムは確かにクール。しかし、日本を走るハーレーの恐らく半数以上は2000年以降のモデルのはずだ。エンジンフィーリングの話は別にして、同じハーレーであってもショベルヘッドやパンヘッドと現行車輌ではエンジンの造形や大きさ、フレーム形状が違うため、我々現行ユーザーにとっては「自分が乗る車輌で、どれほどのカスタムができるのか」を知りたいのではないだろうか。そこで今回はファミリー別に全国の名だたるショップの“現行、もしくは現行に近い”ハーレーのカスタム車輌を紹介することにしよう。「現行車だってここまでカスタムできる」、「これだけコンパクトにまとめられる」、伝えたいメッセージは車輌によってさまざまだが、ハーレーの持つ大きな魅力である“カスタム”を現行車でも存分に楽しめることが伝われば幸いだ。
2004年式モデルでスポーツスターは大きなモデルチェンジを行った。エンジンがラバーマウント化され、それに合わせてフレームも大柄なものとなっている。リアタイヤも従来の130㎜から150㎜と太いモノを履かされた。そのため、登場当初は「大柄になったスポーツスターなんて…」という声が上がったのも事実。しかし、下記で紹介するカスタム車輌を見て欲しい。大きさを感じるだろうか、スポーツスターの魅力が減退しているだろうか…否、スポーツスターの魅力は健在だ。変わったのはこれまでのカスタム手法と違ったアプローチが必要になったということ。配線の処理や、小さく見せるための視覚的なテクニックなど、新たな工夫を凝らす必要は確かにあった。しかし、登場から4年を経て、現行スポーツスターに前向きに取り組み、カスタムのノウハウを蓄えてきたショップはここまでのカスタム車輌を製作している。
2004年以降の大柄フレームもカスタム手法によってはコンパクトに見せられる
オープンファンネルにゴミが詰まらないよう軍手を被せる。この姿を見て思わず笑みがこぼれた。ガレージで仲間と試行錯誤しながらカスタムを進める、そんなガレージビルドの雰囲気が漂ってきそうではないか。ピカピカに磨かれて、ショールームに鎮座するラグジュアリーなカスタム車輌ではなく、ストリートに映えるマシンだという証拠だ。フロントフォークを3インチ短縮、リアサスペンションも寝かして取り付け、地を這うようなポジションを獲得している。「SUPER RECORD」と名づけられたこのスポーツスターが目指す先は「限界を超えた速さ」だ。そのため、乗り手に対しても妥協ないポジションが求められる。セパレートハンドルにバックステップ、薄いシートなど日常的に乗りこなすツーリングマシンにはなり得ない。しかし、それでいい。マシン全体から速さを求めるオーラが漂うマシンではないか。何かを追い求めるモノは何かを犠牲にしなければならないのだ。
インスパイアされたのは映画「世界最速のインディアン」です(笑)。あのインディアンがソルトレーク州ボンネビルを駆ける映像を見て、ゾクゾクと血がたぎるものがありました。「もし、僕のマシンがあそこを走るなら…」それをイメージして、このスポーツスターを形にしました。“コーナーをヒラヒラと…”なんて考えてはいません。ひたすら直線を速く、そう願ってこのスタイルに辿りつきました。(BLACK CHROME BIKE WORKS 代表 松本 悌一)
落ち着いたカラーリングにすることで、タンクの大きさは感じられない
トランプが製作するカスタムには派手さはない。飛びぬけて自己主張の強いパーツもない。都会に馴染むオトナの品が溢れるカスタム車輌を常に製作してきた。フレームやトリプルツリーなど、車輌ディメンションの核となるパーツは交換せず、ブラックアウトすることで落ち着いた印象を与えている。派手なカスタムは一時的な満足感は高いが、その分飽きが訪れるのも早いもの。長く乗っても飽きがこない、上品なカスタムはじわりじわりと乗り手の満足感を刺激していく。「凝ったカスタム≠カッコいい」ということがわかる好例だ。でしゃばり過ぎない見た目に、そのフィーリングも上品だと思うかもしれないが、それは間違い。エンジンはストックながら、セッティングが煮詰められたFCRにオリジナルチタンマフラーが取り付けられているため、スロットルを軽く捻れば、体を置いていかれそうな加速が味わえる。リアにオーリンズがおごられているのは装飾のためではない。この車輌に最低限必要な足回りなのだ。
お客さんからオーダーされたのは「渋めのカラーリングで」だけでした。タバコブラウンのカラーリングによく見ないとわからないフレームラインを入れています。塗料を作るだけでも時間がかかっていますが、これ見よがしにそれをアピールするようなカスタムにはしたくありませんでした。上品な雰囲気を漂わせながら、色のコントラストを楽しむことができる。ウチらしいカスタムの代表作です。(Tramp 代表 長岡 守)
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そのまま下取りに出すと損なことも