取材協力/ハーレーダビッドソン 昭和の森
12ヶ月点検の作業項目には問題がなければ作業を行わないチェック項目も多い。しかし、わずかなオイル滲みや電気系統の確認など、経験のないユーザーが見てもどこに不具合があるかわからないような箇所を見て、プロはトラブルの芽を発見する。何も問題なければ作業は発生しない項目だが、整備・点検をプロに依頼するもっとも大きな理由がこの項目に含まれると言えるだろう。トラブルが起こっていない車輌から将来のトラブルの芽を探し出す。これこそメカニックの経験が問われる作業なのだ。
一見問題ないように見えてもブレーキホースの取り回しが原因で利きが悪くなっていることもある。各種ケーブルも同様にチェック。 |
| 現行モデルに採用されているベアリングはガタがあればすぐに交換が必要。頻繁に交換する部品ではないが点検時には必ず確認する。 |
| インナーチューブにオイルが付着していたり、錆びが発生していたりする場合はシールが痛んでいる可能性があるのでチェック。 |
プラグを見ればエンジン内部の燃焼状態が推測でき、給排気系システムのトラブルを把握するきっかけになることも。問題があれば即交換。 |
| 単純な緩みを防止するためヒューズをチェック。タンク下の電装系が振動でダメージを受けていないか、も同時にチェックする。 |
| ドライブベルトの張りもチェック。緩すぎてもきつ過ぎてもダメ。ホイールアライメントも同時に調整を行う。 |
以上、HD昭和の森の12ヶ月点検の代表的な項目を紹介してきたが、すべての作業が終わった後で最終チェックが必ず行われる。点検し忘れや点検作業にミスはないか、2重・3重のチェックを経て、オーナーの手元に愛車は戻ってくるのだ。どれほどの手間をかけ整備・点検が行われているのか、おわかりいただけただろうか。ちなみにこれだけの点検項目を行っても、12ヶ月点検の“点検のみ”の基本料金は2~3万円ほど(ショップにより違いはアリ)。オイル交換やその他追加作業と一緒になると“高い”と思うかもしれないが、定期点検で発生する金額は、実は思いのほか安い。
作業終了後は専用のコンピューターでシステムのチェックを行う。整備状況はPCに記録され、いつ何を行ったのか、も把握できる。 |
| PCだけでなく、人による試乗チェックも行う。繊細な人の五感でチェックを行うことで見落としがないか、最後の確認を行う。 |
| 基本的に洗車を行うのはすべての作業完了後のこと。オイル滲みなど、汚れの中にトラブルの芽が眠っていることがあるからだ。 |
12ヶ月点検などのメニューは人間で例えるなら健康診断に近いものがあります。年に1度でもお医者さんにかかることで、重い病気を発見できるのと同じで、我々メカニックは些細なところから愛車のトラブルを見つけ出します。現在のハーレーは非常に信頼性が高くなっていますが、乗りっぱなしでは完調を維持することはできません。ハーレーを知り尽くしたメカニックに愛車を預けていただくことで、何年も、何万kmも調子良くハーレーを楽しんでいただけるでしょう。車輌を預け、戻ってきたときにその違いはおわかりいただけます。安心して全国のディーラーネットワークにお預けください。
取材協力/ハーレーダビッドソン昭和の森