取材協力/ハーレーダビッドソン 昭和の森
イチバン良い季節を
存分に楽しむために
Season has come!! ハーレーを存分に満喫できる春がとうとうやってきた。寒さに震えながら走る季節は終わりを告げ、心ゆくまま何時間でも走り続けたい季節がやってきたのだ。週末になるのが待ち遠しく、週間天気予報で週末の天気を確認しているハーレー乗りはさぞ多いことだろう。しかし、この季節に案外多いのが基本メンテを怠ったことによるトラブル。代表的なバッテリー上がりを中心に、ちょっとしたメンテ不足が原因のトラブルに見舞われるハーレー乗りは多いのだ。冬の訪れとともに長らく愛車を冬眠させていたハーレー乗りの人は胸に手を当てて欲しい。「そのまま乗っても大丈夫か?」と。少しでも心当たりがある人は、出先でトラブルに会う前に、自分の愛車を点検してもらった方がいい。しかし、プロのメカニックはどんなところを点検しているのか。シーズンが到来したこの時期だからこそ「プロが行う基本点検」についてご紹介したい。
トラブルの種を見つける
定期点検のススメ
ハーレーディーラーでの愛車の定期点検メニューは「6ヶ月点検」、「12ヶ月点検」、「24ヶ月点検」などがあるが、今回は「12ヶ月点検」を例にプロによる点検・整備で何が行われているのか、についてご紹介したい。今回の特集に協力してもらったのは東京都昭島市にある「ハーレーダビッドソン昭和の森(以下、HD昭和の森)」だ。整備点検項目の詳細については各地域のディーラーによって少なからず違いがあり、あくまでこれはHD昭和の森での例。ただし、基本的な部分に大きな違いはないため、最寄りのディーラーでも同等のサービスが行われていると思っていいだろう。我々が車輌を預けた後に「プロがどんな整備・点検」を行っているのか、知っている人は少ないはず。一言で「12ヶ月点検」と言っても、その整備・点検項目は多岐に渡る。普段“縁の下の力持ち”に徹しているメカニックの作業をここで紹介するので、自分の愛車がどれほど大切に扱われているのか、トラブルなく安心して走ることができる理由をぜひ知って欲しい。
上記がHD昭和の森で行われる「12ヶ月点検」の大まかな作業項目だ。全工程で89項目あるこの作業を一般の人が丁寧に行うとおおよそ16時間かかる。しかし、熟練したメカニックであれば5時間ほどで作業は完了するという。また、“点検”作業で重要なのはスピードだけではない。整備・点検をテキパキと行いながら“トラブルの芽”を見つけ出すことも12ヶ月点検の重要な目的だ。このトラブルを未然に防ぐチェックこそが、プロに作業を任せる一番大きな理由。我々素人が見過ごしてしまいそうな予兆からトラブルの芽を見つけだし、大事になる前に適切な対処を行う。定期的にこういった点検を行っていれば、深刻なトラブルに見舞われる危険性はグンと減るはず。トラブルをも楽しみたい“M”的要素が強い方でなければ…経験豊富なプロに点検してもらうことをオススメしたい。
12ヶ月点検では基本となる作業は「オイル交換」。交換するオイルの状態をチェックすることで、トラブルの芽を発見することができるため、必ずやっておきたい項目だ。12ヶ月点検と言っても前回の点検から11ヶ月や13ヶ月のサイクルで行っても問題はないので、オイル交換のサイクルに合わせて点検依頼をするのもいいだろう。プロはオイル交換から何を見ているのか、それをここでは紹介したい。
エンジンオイルは季節の変わり目にはできるだけ交換しておきたい。冬の間に結露した水分がオイルに混ざることが多いので注意。 |
| エンジン内部を循環するオイルからトラブルの芽が見つかることは多い。不純物が含まれていないか、目視でチェックを行う。 |
| 抜いたミッションオイルに金属片が含まれていないか注意して確認。オイルが新しくなればミッションのタッチが大いに改善される。 |
プライマリーチェーンなどの潤滑に重要な役割を果たすのがこのオイル。クラッチ盤の磨耗によるスラッジの量やオイルの匂いに注意する。 |
| プライマリーオイル交換と合わせ、クラッチ調整を必ず行う。定期的に行うことでクラッチのレリーズ機構を適正に保つことができる。 |
| ガスケットは作業の度に必ず交換する。ガスケットを再利用してしまうと、この部分からオイル漏れが起こることもあるのだ。 |