ハーレー乗りからの支持は高い
定番のライダースジャケット
ハーレー乗りには定番のレザージャケットについて紹介するのが、今特集の目的。レザージャケットといえば「ライダース」だが、その歴史は意外に古く第二次世界大戦前にさかのぼる。この頃すでに今のデザインの原型は出来上がっており、当時はまだ高級品だったモーターサイクルに乗ることができる限られた層に愛用されていたという(当時、ライダースという呼称はなかったが)。戦後、モーターサイクルが一般に広がり、ロックなどの音楽とも結びつくにつれ、若者へと広がることになる。アメリカで生まれたライダースは海を渡って世界へと広がり、現在ではデザインも機能も価格帯も豊富になり、ライダーはもちろん、ライダー以外からも支持されるに至ったのだ。
ライダースには「ダブル」と「シングル」の2種類があるが、これらは襟元の作りから呼称が分かれている。デザインは好みによるとして、機能性の点では風の進入を防ぐのはダブルの方が優れており、ハーレー乗りにはダブル愛好家の方が多いようだ。しかしどちらのライダースも防寒性という点では、実はそれほど優れたジャケットではない。モデルによっては裏地が厚くなっているものもあるが、本当に寒い日に走ってみると、外気にさらされる革の冷たさが身にしみてくるのだ。しかし、スタイル面ではこれほどハーレーに似合うジャケットがないのも事実。多少の寒さは我慢する意思を持って着るのか、着膨れしないインナーをこっそり着込むのか…そんな問題点を持ちつつもライダースはこれからも定番のレザージャケットの地位を守り続けるだろう。
レザージャケット選びの注意点
襟、袖、丈、ポケットをチェック!!
バイク乗りのレザージャケット選びにはいくつかの注意点がある。普通の服を選ぶときにはあまり意識しないでいい点について、この章で紹介しよう。レザージャケット選びの際に、以下の項目を頭の隅に置いて自分にあったアイテムを選んで欲しい。もちろん、それをわかった上でスタイルを重視するのも理想のレザージャケット選びの1つ。これが絶対的な答えではない。
ライダースであれば、襟元が締められるタイプになっているのが一般的。「首もとの風の進入を防ぐ」ことはとても大切で、防寒性を左右する重要パーツだ。購入時には、首周りのサイズはもちろん襟の大きさにも注意して欲しい。 | ハンドルを握った状態だと、袖丈は少し短くなってしまう。試着の際は腕を肩の高さやハンドルの高さまで上げてみて、袖口がピッタリなモノを選ぶのも手。やや袖丈が長い方が走行中の見た目がカッコよく、手首が風にさらされることもない。 |
ポケットの使い勝手は重要なポイント。素手だと問題なくても、グローブをしたままだと開けにくいジッパーもある。グローブをしたまま使う機会が多いポケットはどこなのか、ポケットの開けやすさは日常的に使用するには確認しておきたい。 | 袖丈と同じく、着丈にも注意が必要。シートに座りハンドルを握ると、着丈は短くなる。背中の腰の部分がむき出しになってしまい、真冬だとここから寒さが伝わってくることも。着丈は短いのがトレンドのようだが、防寒対策を考えるとやや長めのモノが無難。 |
選択肢はライダースだけ?
違ったスタイルのモノもあるんです
周りのハーレー乗りを見渡すと、レザージャケット愛用者の場合、かなりの割合でダブルやシングルのライダースを着ている人が多い。ただ、ハーレーに似合うのはライダースだけとは限らない。スタイルの違うレザージャケットであっても意外にハーレーにマッチする。そこで、この章ではライダースではない、違ったスタイルのレザージャケットを紹介しよう。紹介するジャケットは、実際に着てみた写真も紹介しているので「こういうモノもありかも」と想像を膨らませて欲しい。
「ライダースはちょっとワイルド過ぎる…」そう感じている人にオススメなのがコートタイプのレザージャケット。このコートのメリットは、着丈が長いことでの防寒性の高さ。また、ハーレーを降りて街を歩いても違和感が少ないのがうれしい。トライアンフなどの欧州車向けな印象が強く、「ハーレーに似合うのか?」と心配される方も多いかもしれない。しかし、左の写真で確かめて欲しい。まったく違和感なく着こなすことができる。
衣装協力/舶来堂
フライトジャケットから生まれたレザージャケットの定番デザインの1つが、このA2タイプ。左のようにシンプルなモノから各種パッチで飾られたモノまでラインナップは豊富。好みのパッチをあしらい、自分色に染め上げるのも楽しみの1つ。袖口と腰はタイトに締められる作りになっているため、風から上半身をきっちりと守ってくれるのも嬉しい。一口にA-2タイプと言っても、デザインが豊富にあるため、好みのモノを探すのは難しくない。
衣装協力/舶来堂
A-2タイプと同じくフライトジャケットから生まれたB-3タイプ。一見してわかるように内部は羊毛で覆いつくされており、防寒性が非常に高い。「革ジャンは寒い」という話はB-3タイプについては当てはまらない。また、B-3を着ると体が二回り以上大きく、マッチョに見えるのもポイントか。ワイルド路線を目指す、ビックツインオーナーなどにはライダースより、こちらの方がオススメかもしれない。ただ難点なのはハーレーを降り、歩くと暑いところ。真冬に暑さを感じるほどの強力なアイテムだ。
衣装協力/舶来堂
ヴィンテージを着るという選択肢も
古き良き製品を現代に着こなす
ハーレーにもヴィンテージがあるように、レザージャケットにもヴィンテージは存在する。高価なものでは戦前から70年代のモノまで、アメリカやイギリス製のライダースの人気が高い。ただ「デザイン的には、ヴィンテージモデルを復刻させたモデルも多く見られる。わざわざホンモノのヴィンテージを買う意味はあるの?」と疑問に思う方も多いのではないだろうか。そこで、ヴィンテージジャケットをこよなく愛する達人に登場いただき、ヴィンテージジャケットの魅力について迫ってみよう。レザージャケットにもっと深くこだわりたい人には、こんな奥が深い世界がある、ということをぜひ知っていただきたい。
60、70年代のイギリス製がオススメ
革の質感と柔らかさがポイント
今回お話を訊いたのは人気アパレルショップが多数集まる、神戸元町のヴィンテージアイテム専門店「HALOGRE」代表の池城さんだ。
「ウチで取り扱うライダースはアメリカ製よりも、ルイスレザーなど、6~70年代のイギリス製ライダースが中心です。カナダやフランス、ドイツ製のような珍しいモノも扱っていますが、どうしてもイギリス製が多くなってしまうんです。それにはちゃんと理由があって、日本人の体形にはアメリカ製ではなくイギリス製の方が似合うと思うからです。具体的にはアームホール(袖口)の太さの違い。アメリカ製はアームホールが太く、日本人が着るとブカブカになってしまいますが、イギリス製のモノはここがタイトで体のラインを綺麗に出してくれます。革の質も違いますね。イギリス製の方が柔らかく、しっとりとしています。アメリカ製のモノは革を硬くなめしていて「これ、ホントに馴染むの?」と思うほど硬いんです。イギリス製のモノは柔らかくなめしてあって、長く着ていても疲れないんですね。また、同じイギリス製でも昔と今のモデルとでは革質が違います。今のモノも柔らかく着やすいのは確かですが、革を薄くして柔らかくしていたり、いい革を使っていなかったり、昔のしっとりとした質感がありません。デザインだけで見ると、今も昔も同じようなモノはありますが、風合いや革の質を突き詰めると“ヴィンテージ”、しかも“イギリス製”。イギリス製には質の高いライダースが多いんですよね。ウチでも一度着られたお客様の多くは、その良さに驚かれます」。
DESIGN VINTAGE HALOGRE
「DESIGN」と「VINTAGE」をキーワードに1920年代から1970年代のアイテムを幅広く揃えているショップ。ヴィンテージレザーだけではなく、ヴィンテージヘルメットの品揃えはマニアも唸らせるほど。
住所/兵庫県神戸市中央区下山手通3-3-12 福穂ビル2B
営業/12:00~20:00
電話/078-332-9599
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