VIRGIN HARLEY | ハーレー界の巨匠に聞く!カスタム指南シリーズ「第4回 ブーツ編」 特集記事&最新情報

ハーレー界の巨匠に聞く! カスタム指南シリーズ
    取材協力/WESCO JAPAN Scare Crow Company VINTAGE BLUE  取材・写真・文/VIRGIN HARLEY.com 編集部
    掲載日/2009年12月25日

この世のあらゆるものを支えるのは“足”と呼ばれるもので、それは引力が存在する地球上において大地と接地する部分だからであり、足から上の重量物を支えるための力を有さねばならない。モーターサイクルで言えばそれは前後のホイールで、停車時・走行時ともにバランスよく車体を支えるタイヤが存在する。

 

人間を支えるのはもちろん両足で、ライダーとなると、人間のみならずモーターサイクルの安定性を保つ役割も担わなければならない。ときには風雨に晒されるなど、酷な環境にその身を委ねなければならない状況も起こり得る。だからこそライダーのフットギアは、ライダー本人を全面的にバックアップできるクオリティの高いものが要求されるのだ。ハーレー乗りともなるとファッション性にもこだわりたくなるところ。そこでもっとも選ばれるのが、いわゆるエンジニアブーツのタイプ。アメカジ風ファッションのベースに、ウェスタン系ブーツは欠かせない。

 

しかしながら、多種多様なブーツが世に氾濫している昨今、「自分に合ったブーツ選び」というものを知る機会がないこともあって、機能的にも優れたブーツとなかなか出会えずにいるライダーも少なくない。そう、ライダーの体型や乗り方によって足に加わる負担は違うわけで、それらを知った上で“自分だけのブーツ探し”をすることが重要なのだ。

 

機能性とファッション性を兼ね備えたブーツは、確かに存在する。しかも、ライダーの個性に合うものが何種類もあるのだ。それらを探し出す極意をご教授いただくべく、3人のプロフェッショナルのもとへと足を向けた。いずれも業界では名の知れた“巨匠”の名にふさわしい御仁ばかり。必読である。

WESCO JAPAN ディレクター
河北 浩太

1977年4月17日生まれ / 愛媛県出身

アパレル系会社に勤めていた頃に、現WESCO JAPAN代表の 岡本直氏 と出会い、創業時に岡本氏の右腕として独立に携わる。アメリカ・オレゴン州にあるWESCO本社で職人としての腕を磨き、現在に至る。ブーツ修理だけでなく後継者育成やマネジメントと、その活動範囲は多岐にわたる。

 

当方でもっとも多くオーダーを受けるレースアップモデルは、ハイトの高さが8インチ以上のジョブマスターです(1インチ=2.54センチ)。多くのバイク乗りが愛用しているモデルではありますが、ハードワーカー向けにブーツを製作しているWESCOとしては、10インチハイト以上のブーツをお薦めしています。実際、本国のWESCOカタログを見ると、10インチハイトのモデルをベースに商品紹介をしています。その理由は「ホールド感」で、10インチハイト以上のブーツのホールド感やフィット感がベストであると言う点からです。

 

WESCOの創業は1918年、当時のアメリカ産業において大きな役割を担っていた木こり(ロッガー)のためのブーツ製造が始まりで、そこからあらゆる業種向けのワークブーツを手掛けていきました。ワークブーツでもっとも重要視されるのは「高いホールド性」で、WESCOブーツのハイト設定が高いのは、そうした木こりをはじめとする労働者の足元をしっかりと守り、それでいて動きやすくするために不可欠なポイントだからです。確かにハイトが短い方が楽に感じられやすいのですが、“ハイトが高いと動き難い”というようなことはありませんし、革なのでオーナーの足に馴染みさえすれば、むしろこちらの方が動きやすくなるほど。使い込んでいけば、そのまま走ったりすることもできますよ。

 

このように、ハイトの高いブーツのメリットは、「ホールド感およびフィット感の高さ」です。逆にデメリットとしては脱ぎ履きに時間がかかる点ですね(笑)。これに関してはユーザーの好みや使用用途といったものが存在しますから、一概にコレと言い切ることはできませんが、やはりライダーである以上、一般の方よりも要求するポイントは高くなります。とりわけ足というのは、転倒時に巻き込みやすいところです。安全性という意味においても、より多くの部分を革で包んでいる方が安心できるかと思います。実際、「ハイトの高いブーツを履いていたお陰で足を失わずに済みました」という事故経験者談を耳にしたことがあります。ぜひこういった内容を、ブーツ選びのポイントに取り入れていただきたいですね。

 

ブーツのタイプは好みに左右されるところだが、ハイトの高さにはあらゆるダメージから足を守るという役割があるのだ。

WESCO JAPAN

住所/〒577-0067

大阪府東大阪市高井田西1-1-17

電話/06-6783-6888

ファックス番号/06-6881-3618

営業/11時~20時

定休/無休

URL/http://www.wescojapan.com/

特集/「WESCOブーツの必然」を見る

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Scare Crow Company 代表取締役
成澤 繁巳

1953年10月15日生まれ / 長野県出身

某アパレル会社に10年勤務した後に独立、アメリカンカジュアルのアパレルを取り扱うショップとして同店をスタートさせた。20年以上の歴史を持つ店のネーミングは、「カラス」という意味を持つScare Crowを取り入れたもの。老舗ならではのオーラとこだわりの商品が並ぶ。

 

ブーツというものは元々作業員のために作られるようになったワークブーツが発祥ですから、業務内容によって形状や特徴もさまざまです。代表的な種類を挙げていくと、<ワークブーツ›、<エンジニアブーツ›、<リングブーツ(ハーネスブーツ)›、<ランチウェリントン›、<ペスコブーツ›、<ローパーブーツ›といったものがあります。特にライダー向けとして一般的に知られているのがエンジニアブーツですね。ところがアメリカでライダースブーツというと、エンジニアではなくリングブーツを指すのです。このあたりは文化の違いであり、面白い点ですね。

 

それぞれのブーツに特徴があるわけですから、まずはオーナー自身が“どういう使い方をしたいのか”という点を絞り込むことが重要になってきます。ライディングに重点を置いた機能性を追及するのか、ある程度ファッション性を生かすスタイルにするのか、街歩きにポイントを置いたものにするのか…。これによって、オーナーに合うブーツというのがおのずと決まってきますからね。またブーツを必要とする足は、人間の体を支える重要な部分ですので、使用用途だけでなくオーナーの体型や加重ポイントによっても少なくない違いを生み出します。

 

ここまで掘り下げると、「オーダーメードのブーツこそがベスト」という結論に行き着いてしまいますが、それぐらいブーツ選びというのはあらゆる観点から見ても重要だと言うことです。「これぞ」というブーツを手に入れられれば、年月の経過とともに自身の足にしっくり馴染んできますし、リペアをしていくことで何十年も付き合っていくことができます。バイクのスタイルにこだわるハーレー乗りならば、ブーツにもこだわってもいいんじゃないでしょうか。

 

ブーツの構造はご覧のように区分けされる。各部位に用いる製法や素材でまったく違うものに仕上がるのだ

Scare Crow Company

住所/〒158-0081

東京都世田谷区深沢1-1-2

電話 & ファックス/03-57070689

営業/11時半~20時

定休/水曜

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VINTAGE BLUE 代表取締役
岡本 隆則

1965年生まれ / 長野県出身

いくつかのアパレル会社で経験を積み、26歳のときに現在のVINTAGE BLUEを設立。当時は海外からのアパレルや雑貨の卸専門会社だったが、アメリカで出会ったレザーウェアメーカー『ラングリッツ』の総代理店となり、その名は業界に知れ渡ることに。現在49あるディーラーを統括する。

 

トータルコーディネートをする上でキモとなるのは、“やり過ぎないこと”の一言に集約されます。さらに掘り下げると、“やり過ぎない程度に着飾る”ということ。どうしても陥ってしまうのが、好みを主張するあまりにやりすぎてしまうこと。オーナー自身は満足できるのですが、それを第三者に評価してもらうとオーナーの思惑とは違った結果になる、ということが多々あります。特に当社ではラングリッツ・レザーズなどのライディングギアを軸に展開していますので、トータルコーディネートという観点から“世のライダーをカッコよくしたい”という想いは強いものがあります。

 

では、やり過ぎないためにはどうすればいいか。もっとも良いのは、いろんなお店に自ら足を運ぶことですね。自身の好みもあるでしょうが、例えば昔からライダーが集まる老舗ショップに行って、そのお店のスタンダードを学んでみるのはいいと思います。そこには必ずプロのコーディネーターがいますし、積極的に話を聞かれても嫌がる人はいません。またそういうお店に揃っている商品は、総じて品質もいいです。良く言えば「ハズレがない」。そうして足を運び続けることで、少しずつ一般的かつスタンダードなライディングスタイルというものが見えてくるのです。ここを身に付けていかないと、何を基準に“やり過ぎてはいけないのか”、線引きができませんからね。

 

“急がば回れ”ということになりますが、やはり何事も地道に学ぶところから知識というものは身についてきますし、スタンダードを知らなければ、自分の好みのスタイルもなかなか生まれてきません。

 

そのためには、繰り返しますが「いろんなお店に足を運ぶこと」。そこからベーシックなスタイルを知り、「やり過ぎないトータルコーディネート」を知っていく…というのが自然な流れだと思います。時間がかかる方法ですが、そうしたことの繰り返しから確かな審美眼というものが身についてくるのです。やはり「カッコいい」と自分が憧れたバイクに乗るわけですから、他の誰から見られても「カッコいいですね」と言われるのが一番いいですよね。

 

トータルコーディネートのキモは“やり過ぎないこと”。絶妙のさじ加減を知るには、とにかく自分の足でショップを回り、自分の目で学ぶほかない!

VINTAGE BLUE

VINTAGE BLUE

住所/〒464-0858

愛知県名古屋市千種区千種3-35-8 吹上ビル3階

電話/052-734-6916

 

LANGLITZ NAGOYA

電話/052-734-6912

営業/11時~20時

定休/水曜(祝日除く)

URL/http://www.langlitzjapan.com/

 

MOM & POP NAGOYA

電話/052-734-6914

営業/11時~20時

定休/水曜(祝日除く)

URL/http://vintageblue.co.jp/