VIRGIN HARLEY | クラブゼニス 完全再生ショベルヘッドモデルを販売 特集記事&最新情報

取材協力/クラブゼニス 写真・文/モリヤン 記事提供/VIRGIN-HARLEY volume.21 構成/VIRGIN-HARLEY.com編集部

掲載日/2013年6月26日

千葉県の船橋市にあるクラブゼニス。もう20年以上ハーレーのカスタムを得意とするショップとして定着しているが、この春大きなチャレンジとして、従来のチョッパー系カスタムだけではなく、ストックのスタイリングを完全再生させるというプロジェクトを始動した。

 

再生とは、蘇らせるということ。クラブゼニスの社長である宇井鉄也さんは、特殊なマニアだけが好む「完全なる純正パーツ」だけにこだわるような再生ではなく、長年のメンテナンス経験に基づくパーツ選びで、耐久性のある実質的な再生を目指すという。

 

「純正パーツだけにこだわっていると、作業はなかなか進みません。しかも見えない部分には現代的ノウハウで洗練された加工精度を追及したいので、純正品だけにとらわれない作業が必要なんです。そして、長く乗れるショベルを作り出す。当時販売されていた新車よりも頑丈で魅力的な一台を制作することが現代ならできるんですよ」

 

ショベルの時代、ハーレーはAMFの傘下にあり、その量産体制はあまり好ましいものではなかったと言われている。それに加えて、当時の日本はまだハーレーを本格的に扱えるメカニックが不足していて、本調子で走らせることができなかったという事情もあったことだろう。しかし、現代は違う。古いエンジンを好む愛好家やショップも多く、再生されて走行可能なショベルは、以前よりもコンディション管理という意味で環境が良くなっていることは事実だ。

 

クラブゼニスでは、今まで数多くのショベルヘッドモデルを販売し、カスタムも得意なショップ。ベース車両はアメリカから輸入し、徹底的にハードのシェイプアップを施して販売してきた実績がある。そのノウハウを持って、当時のシルエットを蘇らせる「完全再生モデル」を制作することになったのだ。

 

ベースモデルはすべて分解され、機能パーツだけではなく、外装の細かいパーツにも手を入れる。塗装やメッキ部分も再生し、一台仕上げるのに手間を惜しまないのである。

クラブゼニスは、チョッパー系のカスタムも得意。お店には車検整備やカスタム作業途中のハーレーも数多く置かれていた。確かな技術力が定評あるショップなのである。

エンジンもすべて分解され、徹底的に寸法を計測。クランクケースそのもののセンター出しや、メタルの交換、心臓部であるクランクの芯出しという徹底的なバランス取り作業も行う。その結果、新車では絶対にあり得ない最高のバランスが取られたエンジンが組み上がるのだ。

  • 右が社長の宇井鉄也さん。クラブゼニスは船橋にハーレー専門店、津田沼に国産車を扱うショップを展開する。左は船橋店店長の西野入春樹さん。どちらも敏腕メカニックである。

機能部分を再生するだけではなく、そのルックスも徹底的に磨き上げる。キャブレターやプッシュロッドカバーなど、細かい部分も同様に、新車時以上の輝きを与えていくのである。

これはフロントブレーキのマスターシリンダーである。中にはブレーキフルードが入っていて、その機能再生は当然だが、ヤレた塗装も完全に再生させる。

リアフェンダーの後部に装着されているメッキのオーナメントやモール。赤サビが出るほどではなかったものの、くすみきっていたメッキも、当時の深い輝きを取り戻していた。

ベースモデルは1972年のFLH1200である。コンディションは上々だったが、パーツは経年劣化が進んでいた。そこですべて分解し、オーバーホール。塗装やメッキも再生し、税込み298万円で販売。2年または10000kmの保証付き。

2台目の完全再生車両として予定されている1978年モデルのFXSローライダー。まだ作業は始められていない状態で、価格未定。

機能パーツをオーバーホールした通常の中古車として販売される79FXSは税込み176万4000円。6ヶ月または3000kmの保証付き。