バイクをライディングする上で、とても重要なパーツであるシート。それは単に座り心地だけを追求するものではなく、全体のルックスにおいてもイメージを左右する大切な存在である。アメリカンドリームスのセミオーダーシステムは、柔軟な体制で様々なユーザーをサポートする。
国産アメリカンバイクやハーレーダビッドソンに装着する、様々なパーツをリリースしているアメリカンドリームス。その代表的な物に、多くのラインナップを揃えるカスタムシートがあるのだが、ハーレー用も様々なスタイルを提案している。今回紹介するシートは、主にスポーツスター用に製作された新製品なのだが、その製作ノウハウやパーツショップとしてのポリシー、そして歴史に関しても取材してみようと思う。
アメリカンドリームスは、現社長の越智益孝さんが40年ほど前に立ち上げたショップである。それ以前は、バイク用のパーツではなく、70年代に有名なテレビコマーシャルで一世風靡した健康器具を製作していたが、社長がバイク好きということもあり、バイクパーツの製作に着手。その最初の段階から、カスタムシートの製作はスタートしていたという。拠点は、現在のショップがある三郷である。アメリカンバイクシーンが大好きということもあり、木造のアメリカンハウスをイメージした建物を建設すると、当時はバイクショップというよりも、レストランのように見えたという。
「初めは、カスタムパーツショップやバイク屋さんの下請けとしてシートやFRPパーツを製作していたのですが、既成品だけ作っていても、ユーザーは様々ですからね。だんだんウチのオリジナルが増えていったわけです。基本的に、シートだけではなくアメリカンスタイルのパーツを提供するという姿勢は、今も変わりませんね」
1980年にスタートしたパーツメーカーとしての動きは、ずっと同じポリシーで製作されつづけている。その基本的な考え方は、ユーザーサイドに立つことだという。現在、ショップの店長は息子の秀雄さんが担当しているが、セミオーダーシートの意味を伺ってみたいと思う。
──まず、シートのセミオーダーとは、どのような解釈なのかお聞きしたいと思います。
越智:ノーマルシートというのは、万人に向けて作られている。というよりも、ある程度の平均的な体格を想定して、設定されているものだと思います。でも人間は体格もそれぞれ違うし、バイクの乗り方だって違いますよね。なのに、同じシートで良いはずがない。
──ハーレーのシートはいつから手がけているのですか?
越智:創業時からずっとですね。ハーレー用は特に、日本人の体形を考えると、そのままのシートでユーザーが満足できているはずがないので、足付き性や、ライディングポジションを調整する意味でも古くから扱っているんです。セミオーダーシートとしての発想は、そんなところが原点ですね。
──具体的にはどのような方法なのでしょう。
越智:まず、車種別のシートベースを製作して、それをベースにスポンジの形や表皮を選んでいただくのがセミオーダーの方法です。
──デザインは自由なのですか?
越智:サンプルになる基本的なスタイルはありますから、そこからプラスマイナスして調整できるということですね。たとえばキング&クイーンシートを製作するとして、ライダーのシッティングポジションの調整や、スポンジの硬さ、腰の部分のサポート位置の調整など、表皮を貼りこむ前に、実際に跨ってもらいながら変更していくことができます。
──表皮も選ぶことが可能なんですか?
越智:もちろん可能です。100種類以上ありますから、自由に選ぶことができます。
──カラーリングということもできるのですか?
越智:以前は、シートというとほとんどがブラックのレザーでしたが、今は様々にコーディネイトできるようになりました。これはユーザーからの要望が増えてきたということでもあります。バイクをカスタムする上で、シートのカラーリングもトータルで考えるようになったのです。その点でもユーザーサイドに立った商品作りができていると考えています。
──実用面での工夫は何かありますか?
越智:従来のカスタムシートの多くは、防水性に大きな問題がありましたが、スポンジを全面ビニールコーティングすることで対応しています。それでも入ってしまう水分は、シートベースにベント穴を開けることで排出できるような対策をしています。そして表皮は紫外線に強い素材を吟味して、劣化の少ない製品作りを心がけています。
セミオーダーというよりも、ほぼフルオーダーに近い考え方。共通するのはシートベースだけで、スポンジから上はほぼユーザーの好みに合わせたシルエットが製作されているということなのだ。
新たにサンプル製作されたスポーツスター用のシートは、2004年以降のエンジンがラバーマウントの現行モデル用と、2003年以前のリジットマウントモデル用の2種類を紹介。スポーツスター用以外にも、ソフテイルやダイナ用のサンプルもピックアップ。様々なデザインや使用用途の違いからくるシルエットの違いから、多様化するユーザーニーズに細かく対応していく、アメリカンドリームスの仕事を理解することができるだろう。
そして、肝心のシートのオーダー方法だが、直接来店しての注文のほかに、来店できないお客様への対応も用意している。それは、シートベースの上にスポンジを載せた状態で発送するというものだ。商品を受け取ったお客さんは、自分でバイクに装着して座り心地を確認し、もう少しスポンジを削って欲しければマジックでマーキング。あるいは、足して欲しいのならば同梱されたスポンジを貼り付けて送り返すという流れである。それを受けて、同店ではそれぞれのお客さんに合わせたシート製作を行っている。