バイクをカスタムする上で、スタイリングの要となるタイヤの選択。それがクラシカルテイストならば、もちろん古いトレッドパターンのタイヤが欲しくなるのは当然である。しかし、実際に大昔のタイヤを装着して走行するのは安全上大きなリスクが伴う上、現存するだけで価値が上がってしまうビンテージタイヤの販売価格高騰も大きな問題だった。
カスタムだけでなく、本物のビンテージバイクを復活させる上でも新品のクラシカルタイヤへの要望は強い。そんな声から生まれたのが、現行のオールステートタイヤなのである。
サイドウォールにあるロゴマークと、アメリカ国土を示すレリーフが大きな特徴だ。オールステートはかつてのアメリカンテイストに溢れていた、老舗メーカーなのである。
1893年に創業を果たしたアメリカのシアーズ・ローバック社は、1926年から「オールステート」の名で自動車関連のアクセサリー販売チェーンを展開していた。オールステートと名付けられたブランドは車やオートバイ(250cc)など数多くの商品を生み出すが、特にタイヤ部門は飛躍的な業績を遂げて、同社の看板商品となった。
当時の資料や写真を見ても、ハーレーやインディアンなどへの装着率は高く、その人気ぶりが伺えるものだが、その他にも四輪用のタイヤも大きなシェアを獲得。バッテリーや点火プラグなど、様々な機能パーツもオールステートのブランドとして商品展開し、アメリカンテイストのイメージを確立していったのだ。しかし1993年には、オールステートとしての商品は完全に市場から撤退してしまったのだ。
日本でこの事業がスタートしたのは3年前。記憶に残るオールステートブランドの復刻は、日本国内だけに留まらず、海外のビンテージモデル愛好家からも大きな支持を得ることができた。そして2012年に第一号タイヤを復刻させてから、続々と当時のビンテージトレッドを刻んだタイヤを復刻。数多くのマニアに支持されている。
クラシックハーレーに多く装着されていたオールステート製のタイヤ。ビンテージモデルを復活させたり、クラシカルテイストのカスタムバイクを製作する上でも重要なファクターとなるタイヤの選択だが、オールステートはヨーロッパーの安全基準であるEマークやアメリカのDOTを共に取得している。安全面でもまったく問題のないタイヤとして、さらなるラインナップが計画されている。
イタリアンスクーターとして有名なベスパだが、1950~60年代のアメリカでは、まったく同じモデルが「オールステート」として販売されていた。もちろん、そのスクーターに装着されていたタイヤはオールステート製で、当時のタイヤサイズは8インチである。
現行オールステートでは、現存数の多いスモールサイズのベスパにマッチングする、10インチのタイヤを開発中で、その内容は他のスクーターでも採用できるようにチューブレス構造だという。もちろんルックスはオールドスタイル。販売が待ち遠しいタイヤである。
❶❷Safety Treadは、1930年代オールステートタイヤの完全復刻。サイドウォールのストライプ&リブが特徴。5.00-16・4.00-18・3.50-19をラインナップ。❸❹Safety Stripesは、ビンテージピレリの復刻。細めのチョッパー等に似合うタイヤ。2.75-19・2.75-21をラインナップ。❺❻❼DELUXEは、1940年代のグッドイヤーイーグルを忠実に復刻。5.00-16をラインナップ。❽❾DIAMONDも40年代のグッドイヤーを復刻したもの。サイドウォールのストライプ&リブが特徴。5.00-16をラインナップ。❿⓫⓬Dirtmanは、グッドイヤーグラスホッパーの復刻。本来、コンペティション用のブロックパターンだが、公道仕様にコンパウンドを調整してあるので耐久性も良好だ。5.00-16・4.00-18・3.25-19をラインナップ。
アメリカンオールドテイストのタイヤを完全復刻し、2014年4月より、社名も(株)オールステートとなる。今後はバイク用のタイヤに留まらず、ビンテージを楽しむクルマやスクーター用も開発し、味のあるタイヤメーカーを目指す。
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