スーパーゾイルの添加量はオイル容量の8~10%が基準だが、その割合を守って使用していると中途半端な余りが出ることがある。そこで、一部ユーザーの中にはこの余剰分を別容器に移し替え、エンジン以外に使用する例があった。そして、金属表面を改質する効果は車体各部でも有効なことが、ユーザーのインプレッションで証明されたのだ。エンジンだけでなく、車体にも効果のある使い方をいくつか紹介しよう。
ブレーキやクラッチレバーのピボットボルトは、大きな側圧を受けながら回転する力が働く。ここは一般的にはグリスで潤滑しているが、高い極圧により油膜切れを起こすのが当たり前で、そうなると操作性が悪化し、微妙なコントロールがしづらくなる。また、レバーホルダーとレバーの接触面も、潤滑が不足すると摩耗が進み、レバーにガタが出てしまう。またクラッチワイヤーやスロットルワイヤーなどのコントロールケーブルも、定期的に潤滑しないと操作力が増大してしまう。ここにスーパーゾイルを用いると、操作時の摩擦で金属表面が改質され、レバータッチが滑らかになり、またワイヤーはスムーズに作動することで切れづらくなる。
フロントフォークのインナーチューブやリアサスのダンパーロッドに薄く塗ってテストするユーザーもいたという。すると、スライドメタルの表面が改質されることでフォークの応答性が向上し、高級合成油成分でオイルシールやダストシールが潤滑されることで、微少な入力でもサスが正確に反応するようになり、不快な突き上げが減少して乗り心地も良くなったという。また、フロントフォークオイルにスーパーゾイルを混ぜれば、スプリングとインナーチューブが擦れる際のフリクションロスが軽減する効果も得られる。
封入されたグリスによって、チェーンを構成するピンとブッシュの潤滑が維持されるシールチェーン。だがブッシュとローラー、ローラーとスプロケットは金属同士が接触するため、チェーンルブは欠かせない。しかしチェーンルブの多くは潤滑油なので、走行中に飛んで無くなったり、雨天走行時に洗われてしまう。そこで、ここにスーパーゾイルを塗ると、走行時の極圧によってローラーとスプロケットの表面が強靱に改質されて、僅かな潤滑油でも摩耗が進まなくなるのだ。もちろん、ゴムシールへの攻撃性はないので、安心して利用できる。
サンデーレース用のマシンでホイールハブのダストシールまで外すのはよくあることだ。しかし街乗り車では、ベアリングなどの寿命を縮めることになる。そこでアクスルシャフトやカラーにスーパーゾイルを塗布すると、シャフトとカラー内面、カラーとダストシールの接触面に改質皮膜が形成され、回転時のフリクションロスが減少する。その効果は押し歩きのときから実感でき、まるでタイヤのエア圧を上げた時のように、軽く取り回せるようになるという。スイングアームのピボットシャフトやリアサスのリンクに塗布することで、サスの動きも良くなる。
4ストエンジンに4サイクル用スーパーゾイルを使用するのは当然だが、2ストエンジンには2スト用か4スト用か?どちらを使えばよいのかという質問が、いまだにメーカーに寄せられるという。スーパーゾイルには4サイクルエンジン用、2サイクルエンジン用があり、2サイクル用はヤマハオートルーブやスズキCCISなどに添加する製品である。しかし、ミッションオイルには4サイクル用スーパーゾイルを使用する。また2ストでも、組み立て時にクランクやピストン周辺に4サイクル用を塗布することで、最初の始動でクランクやシリンダー周辺パーツの改質が行われる。