前回は「プラグの働き」についてご説明しました。今回は実際にプラグの脱着・交換作業を行う際の注意点をご紹介しましょう。プラグの脱着・交換作業は時間がそれほどかからないため、簡単な作業に見えますが、それでも注意すべき点はいくつかあります。順を追ってご説明いたしますので「ああ、プロはこんな風に作業をしているんだな」とご参考にしてみてください。なお、プラグ交換の際は今お乗りの車種、チューニング状態に最適なプラグをお選びください。正しいプラグを選択していなければ、正しい点火が行われません。「純正プラグだと何番、チャンピオンだと何番、NGKだと…」は前持って調べておいた方がいいでしょう。
まず、プラグコードを外す作業です。基本的なことですが必ずキャップ部分を持ち、プラグコードを取り外してください。コード部分を持ち、無理やり引っ張るとキャップ部分とコード部分が外れてしまうことがあります。また、それほど力を入れなくてもプラグコードは取り外せますので、無理に力をかけてプラグとプラグコードの接点を壊さないように注意してください。
次にプラグを取り外す作業です。まず、プラグレンチでプラグを少し緩め、あとは手で緩めていってください。このとき、プラグを取り外す前にプラグ周辺のゴミは綺麗に取り去っておきましょう。
エアーで飛ばすのが簡単ですが、コンプレッサーがない方はウェスなどで綺麗にしておきましょう。プラグが取り付けられている「プラグホール」は燃焼室につながっています。ここからゴミが進入すると走行時にゴミがシリンダー内部を傷つけてしまう恐れがあります。くれぐれもご注意ください。
さて、プラグを外しましたら、プラグ先端をチェックしてみましょう。エアークリーナーエレメントの詰まりによるミクスチャーの狂いなどがなければ、通常の使用だとプラグ先端は白く焼けているのが一般的です。
最近のエンジンは薄いガソリンを効率よく燃やせるよう進化していますから「白い→ガスが薄い」というわけではありません。また、出先でのトラブルでプラグのチェックをする場合、エンリッチナーの使い方のミス程度ならブラシで接点を掃除することで直る可能性もあります。
しかし、プラグ先端にオイルが付着しているなどであれば、プラグの再使用はあきらめた方がいいでしょう。新しいプラグを取り付ける前に、できればプラグギャップの測定・調整を行いましょう。バイクパーツの量販店などでギャップをチェックできるツールは販売されています。通常0.8~0.9mm程度のギャップが規定値です。
プラグのトラブル時は左のギャップ調整ツールがあれば「プラグギャップが広すぎる・狭すぎる」などのチェックが行えますので車載工具に入れておくのもいいでしょう。ネット通販などで購入することができます。
プラグの取り付けを行う際ですが、取り付ける際は必ず手で締めてください。うまくプラグが締まらない場合は一度外してから取り付け角度が正しいのが、確認し直しましょう。斜めにプラグを入れ、無理に締め付けるとプラグホールを傷めてしまいます。無理な力を加えずに手で回せるところまでは手締めで、最後にプラグレンチを使い、本締めを行います。ここでももちろん締めすぎは厳禁です。プラグメーカーの推奨締め付けトルクを憶えておくに越したことはありませんが、無理な力をかけず軽く締めればいいでしょう(例:デンソーではガスケットの再使用の場合は座面が密着してから1/12回転)。
ショベルヘッドなどの古いエンジンでは、ネジ山の磨耗やヘリサートなどで補修してあることが多く、この場合は締め付けに更に注意が必要です。プラグの取り付けが完了すれば、最後はプラグコードを取り付ければ完了です。プラグコードを取り付ける際は「カチッ」と手ごたえがある奥まで差し込んでください。緩い状態でプラグコードが差し込まれていると、走行中にプラグとコードが外れて火花が飛ばなくなってしまいますよ。
53歳。1979年に「モトスポーツ」を創業。ショベルヘッドが新車の頃からツインカムが現行の今までハーレー業界の第一線で活躍している。オートバイを愛するが故に規制対応マフラー「ECCTOS」やオリジナルエンジン「U-TWIN」の開発に携わる情熱家でもある。