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バージンハーレー.comでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、手軽に楽しめる過去アーカイブ記事を紹介させていただきたいと思います。まずは大人気コンテンツの「ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座」をご紹介します。じっくり読んで、ハーレーダビッドソンのウンチクを身につけていただければと思います。
1936年のナックルヘッド以来、5代目となるビッグツインエンジン「ツインカム88」がデビューしたのは1999年。今回は温故知新のツインカムを解剖してみようかの。
俺でも解ると大好評の「ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座」、その第14時間目のお題はハーレーダビッドソンの1999年モデルとして発売されたツインカム88=ファットヘッドについてである。
まずはそのニックネームである「ファットヘッド」について。ハーレーダビッドソンのビッグツインエンジンが代々ニックネームで呼はれてきたのは知っておるじゃろう。図解を見るまでもないとは思うが、サイどバルブを採用していた時代のエンジンを指す「フラットヘッド」という言葉がその始まり。サイドバルブエンジンの構造上、シリンダーヘッドは単なる董の役目を果たすわけで、外すと平らになっていることからフラットヘッドと呼ばれるようになったのじゃ。
初のOHV市販モデルとなったナックルヘッド(1936年~47 年)は 、拳を握ったようなカタチのロッカーカバーに由来。パンヘッド (48年~65年)のPANは平ナベとか皿状のものという意味で、 ショベルヘッド、(66年~83年)はその名のとおり地面を掘るショベル。そして84年に登場したエボリューションはブロックヘッド。ブロックは積み木の意味で、これは角張った形状で3段重ねとなったロッカーカバーを表したもの。と、ここまではそのカタチを何かに「たとえて」おったのじゃな。これに対してツインカム88の「ファットヘッド」はそれまでと少しばかりイメージの違う名付け方ではあるまいか。というのもこの「太っちょ」と言う呼び名は過去のネーミングほどカッコいいとは思えんがな。
ツインカム88という正式名称じゃが、88は88キュービックインチ(=1450cc)の排気量を表すもの。ちなみにEVOは80キュービック=1340ccじゃ。「ツインカム」はその名のとおりカムが2本になったことを意味しておる。ナックルヘッド以来のハーレーダビッドソンO H Vビッグツインは「ワンカム」方式を貫いていおったわけじゃが、ファットヘッドはさまざまな理由からこのワンカムに別れを告げ、前後のシリンダーにそれぞれ1本づつの独立したカムシャフトが与えら れることとなった。この2カム方式は古くは1920年代に採用されてはおったが、これは4カムへと進化して現在のスポーツスター系エンジンへと受け継がれておると言うこともできるから、ビッグツインが2カムになったというのは画期的な出来事であることは間違いない。
さてこのツインカムという呼び方じゃが、ハーレーマニア以外の者に誤解を招くおそれが大いにあるのう。内燃機の世界で「ツインカム」と言えばDOHC=ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフトを指すのが一般的じゃからな。ワシもハーレーに詳しくない知人と話しておる時に 「えっ、ハーレーってDOHCになったんですか! ?Jと驚かれ、あわてて否定したことは1度や2度では済まんからな。そんな時には「これまでのワンカムOHVから2カムOHVになったからツインカムと呼ぶ」としっかり訂正しておくことを忘れずにな。
ツインカム88の発表のときにワシは H-D社のブルーステイン社長と会ったが、ツインカム88に対して非常に自信と誇りを持っていたのが印象的じゃった。「空冷OHV・45度V型」という砦を貫いたわけじゃし、何といってもパワフルかつスムースによく走る。確かに素晴らしいエンジンじゃとワシも思うのう。
これにて14時間目は終了。ではまた、ホグホグ。