タンク ワンオフ製作
スタイリングを決定づける
タンク製作から着手する
オーナーからの要望を受けて完成図が明確になったところで、早速カスタム開始。まずはフューエルタンクのワンオフ製作という大きな作業に着手することになったが、ヒデモのスポーツスターカスタムプランでは定番とも言えるポイント。というのも、低くスタイリッシュにカスタムを進めていく上で、車体が描くアールの矯正は必須項目であり、ここを整えて初めてオリジナリティを与えていくことができるからだ。カスタムショップだからこそ手を入れられるとっておきのプラン、刮目せよ。
ノーマルのスポタンをベースに作り込んでいく。
必要不可欠なスタイリング矯正
キャブ車と違い、カスタマイズする上で考えたら現行インジェクションモデルはかなり制約が多いです。しかしながら、煮詰めてやればノーマル時と比べて格段の差を生み出すことができるのもまた事実。中でも気になるのは、フューエルタンクとエンジン(のシリンダーヘッド)とのあいだにある黒い空間と、盛り上がってしまったタンク位置に合わせたヘッドライトやシート位置です。インジェクション化したことで配線が増え、結果的にフレームまわりが太くなってしまったのですが、それに合わせて容量を保ったスポーツスタータンクを載せているので、ヘッドライト位置も高く、シートも妙な盛り上がりを持っています。なので、スポーツスターをカッコよくカスタムする上でタンクのローマウントは最低限の条件と言えます。逆に言えばここを整えてやるだけで、全体のフォルムが見違えるような美しさを形成しだすのです。だからウチではタンクとシート製作、そしてヘッドライトのローマウントをセットでご提案しています。
ノーマル時とカスタム後を見比べたら一目瞭然。ここを整えてやるだけで大幅にスタイリングを美しくしてやれます。
作業工程を見る
01ノーマルのスポーツスタータンクをベースに新タンクを作成。このように真っ二つのものを溶接でつなげ、仮組みしていきます。
02溶接したら、フレーム形状に合わせてカッティング。配線をそのままにしてマウントさせるので、えぐる部分もご覧の大きさに。
03カッティングできたら、まずは仮載せ。FRPで製作したシートベースと合わせてセッティングし、完成後のイメージを整えます。
04イングリッシュホイールで外側を整えていきます。ここがきちんと形成できないと最終的に綺麗なアールを描けません。
05形を整えては仮載せ……という作業を繰り返し、ベストポジションとラインを検討していきます。こういう作業こそ必要なのです。
06この段階でヘッドライトのローマウントも実施。ここからタンク⇒シート⇒リアフェンダーと流れるラインが生み出されるのです。
07リアからのビューもチェック。細身になればなるほどスポーツスターはカッコよくなります。ウチはこのアングルを重視します。
08今度はタンクの内側を作り込んでいきます。フレームやインジェクションポンプの形状に合わせ、パーツを切り出します。
09ノーマルのインジェクションポンプはしっかりしているので、こうして新タンクに取り付けて問題がないか細かくチェックします。
10ポンプの取り付けチェックができたら、要所要所を溶接して仮留め。そしてまたフレームにマウントさせてズレがないか確認。
11仮留めしてマウント。溶接し終えてからズレが見つかったら大変なことになりますから。確認確認、また確認、なのです。
12ここまでやって問題がなければ、本格的に溶接していきます。ここまできたら、タンクとしての役割を果たす姿になってきます。
13溶接部分を研磨して、縁を整えていってやります。完成時の美しさを損なわないよう、キメ細やかにキメ細やかに処理します。
14お次はタンクキャップ位置を決めます。青いスプレーで場所を定め、キャップ受けのサイズに合わせて円状の穴を空けます。
15なるべくキャップが飛び出ないようなスクリュータイプのバングを加工。キャップのゴムリングが収まる形になっています。
16空けた穴に受けを埋め込んで溶接していきます。もちろん液状の漏れがないか、最終チェックも行っていきますよ。
17フレームにボルトオンするためのタンクブラケットを溶接。ここでもボルト留めしてマウントに問題がないか確認します。
18溶接箇所にピンホールがないかチェックし、それから専用のシーラーでタンク内をコーティング。これでほぼ製作作業は完了。
作業完了!
作業内容・日数
- タンクのワンオフ製作
- ヘッドライトをローマウント
- タイヤ(前後とも) Firestone に取り替え
- 作業全般/約4日間
ウチのカスタムプランの中でも核となる大きな作業のひとつが完了しました。本当はスタイリングそのものを Before / After で見比べていただきたいのですが、まだ途中段階ですので完成までしばしお待ちを。ここまででタンク製作のみならず、ヘッドライトのローマウント加工と前後タイヤの取り替え(ノーマルから Firestone に)を行い、全体のバランスを整えています。次に着手するのはシートですね。オーナーの要望にあったタンデム仕様を前提としたワンオフ製作です。ウチのオリジナルシートのベースを用いて作り込んでいきますので、どうぞお楽しみに。