「パッと見たらノーマル然としているけど、よくよく見たらスゴいカスタムメニューだと気づく。そんな玄人好みのマシンに、というのがコンセプトです」
カスタムコンテストの常連としてディーラー間では名が知れ渡っているハーレーダビッドソンシティ中野店の松本泰輔店長。その言葉どおり、ツウが見れば思わず唸ってしまうほどライティングに特化したロードスターに仕上げられている。
フレームはそのままに倒立フロントフォークが備わるロードスターは、18インチ化したリアホイールを支えるスイングアームが従来どおりのため、車体の足腰がやや華奢でひ弱な印象を持たれる。そこで松本店長は、スポーツスター用とされる米トラック社製の高剛性スイングアームを取り寄せ、英ナイトロン社製リザーバータンク付きサスペンションとセットで組んだ。さらに前後ともブレンボ製ブレーキングシステム化と、足周りは文字どおりのフルコースでパワーアップを図っている。
それでいて、スポーツスターらしさの演出にも余念がない。「18インチのリアタイヤを丸々見せつけたかったので、フォーティーエイト用のチョップドリアフェンダーと組み合わせて狙いどおりのビジュアルとしています」(松本氏)と、ナイトロン製サスペンションの長さにも明確な意図があることを伺わせる。
極めつけは、メーターまわりだ。ワンオフステーでオフセットされたオートメーター製タコメーターとタッグを組むのは、独モトガジェット製デジタルスピードメーターである。コックピットの印象のみならず、フロントビューまでも一変させる強力なレーシングキットは、高剛性スイングアームと合わせてこのマシンのアイデンティティとなっている。
ストリートレーサーというコンセプトのもと生み出されたロードスターも、ここまでパワーアップできる。もはやノーマルモデルではついていけないのではないか、そんな想像さえさせる仕上がりの一台だ。