ポリッシュやクロームを効果的に取り入れることで、そのコントラストをもって真っ黒なボディを際立たせているフリスコ風フォーティーエイト。全身からなんとも言えない禍々しいオーラを放つ一台だ。オーナーの山口さんはレース畑でサーキットを走っていたキャリアの持ち主で、現在はカー&バイクのメンテナンスやコーティング等を手がける「ポンコツ★プロジェクト」の代表を務める。「XL883Rとか乗っちゃうと飛ばしたくなるから、自制の意味でフォーティーエイトを選んだ」という。
確かに走りについて追求するとしたら、現行スポーツスター、それもフォーティーエイトだと早い段階で限界にあたる。それこそが「魅せてナンボ」を突き詰めたフォーティーエイトの魅力であるし、だからこそこのマシンも、フォーティーエイトらしさを匂わせつつ、オーナーの好みや普段使いが投影されたカスタムモデルとして仕上げられている。
それでも走り屋の血が騒ぐのか、奥多摩で峠を攻めるようになったことで、パフォーマンスアップのメニューが多数盛り込まれることに。フロントブレーキはシングル仕様ながらミスミエンジニアリング製13インチローターとブレンボ製キャリパーが仕込まれ、剥き出しで備わるスクリーミンイーグル製ハイフローエアクリーナー、オーリンズモデルであるトランプ製リアサスペンション、U.S.仕様のライトスプロケット、そして車体の軽量化が施された。奇抜な形状のスワローバーも、「自分が一番操作しやすいから」という理由からのチョイスだ。ハンドルライザーも若干高めにしているのだが、「フォークのトップに後付けするプリロードアジャスターを付けたいから」とのこと。
無駄を削ぎ落とし、パフォーマンスを高めることでフォーティーエイトの限界に挑もうとする山口さん。まだまだカスタムしていく予定だそうで、このワインディング向けフォーティーエイトがどう進化していくのか楽しみだ。