現行モデルのひとつXL883Rのグラフィックのルーツをたどっていくと、1970年代のアメリカのレースシーンで圧倒的なプレゼンスを発揮したハーレーダビッドソンのレーサー XR750にたどり着く。100年を超えるハーレーの歴史のなかでもまばゆい輝きを放つ栄光のスタイルを今に伝えようと、このグラフィックが継承されてきた。残念ながら、そのXL883Rは2015年を最後に消えることとなったが……。
そんなXR750に魅せられたテイストの主、河内山智氏は、その名レーサーのスタイルそのものをリジッドスポーツで再現すべく、専用のボルトオンパーツを開発した。ここに紹介する一台は、そのリジッドスポーツのなかでもより走りに特化したモデル XL1200Sをベースに、シンプルでありながらXR750に漂う雰囲気をまとったモデルとして仕上げられている。
XR750の特徴でもあるフューエルタンクとシートカウルがボルトオンで再現できるというのは大きな魅力だが、このXL1200Sの見どころはそれだけにあらず。軽量化に加えてグレードアップした前後サスペンションとブレーキング、そしてチェーンドライブ化と、本来の走行性能を絶妙なバランスで高めているのだ。元々クイックな走り出しが特徴的なXL1200Sがさらにスポーティな仕様になっており、スポーツスターらしいトルク感とライディングプレジャーを両立させた乗り味に思わず頬が緩む。
色褪せない栄光のスタイルを手にしたXR750スタイルのリジッドスポーツ。伝説のレーサーを知り尽くした河内山氏だからこそ生み出せた一台だと言えよう。