サイドカバーの「72」を見て、かろうじてベースモデルがXL1200V セブンティーツーだと認識できるほどの変貌ぶりだ。ファクトリーチョッパーモデルをカフェレーサーにしようと考えるとは、やはりHDシティ中野 店長の松本 泰輔さんの発想はどこか違う……。そう思っていたが、このモデルが選ばれたのには理由があった。
「1200ベースでナローフォークのモデルって、今はセブンティーツーしかないんですよ。“カフェレーサーが欲しい”という要望でしたので、いずれにしてもホイールを換えることを考えれば、セブンティーツーがベストだったんです」
確かに、XL1200C カスタムやXL1200X フォーティーエイトだと、太いフロントタイヤ用に幅広いトリプルツリーが用いられている。加えて、「こうしてほしい」とオーナーが持ってきたイギリスのビンテージカーのデザインとクロームメッキエンジンとの相性が良かったことから、まさかのセブンティーツー・カフェレーサー化計画が進むこととなった。
要所要所にローランドサンズ製パーツを用いているが、これがただのボルトオンではない。ピーナッツタンクを中心に描くシルエットを美しくするため、シートカウルはフルゲインの仕事による加工装着とされており、フロントフォークとトリプルツリーの位置を微修正しながらロケットカウルをベストなポジションとした。ボルトオンカスタムでは実現しない、プロの技が光る部分だ。
完成した姿に感嘆の声をあげたというオーナー、今のスタイルに満足しているという。ナイトランで、ネオンの光を受けてキラッと輝きながら疾走する姿をぜひ見てみたい。