時代の移り変わりとともに進化してきたハーレーダビッドソン。創業100年目には初の水冷モデル『Vロッド』をドロップ、そして2015年には新型水冷エンジンを搭載した軽快なストリートバイク『ストリート750』を世に送り出すなど、「空冷Vツインエンジンの鼓動こそハーレー」という既成概念を越えた新ジャンルを開拓しつつある。
そんなハーレーダビッドソンが、100年を越える歴史のなかで20数年取り組みつつも撤退を決めたのがスポーツバイク分野で、このビューエルはその象徴であり、ハーレーから切り離された今も根強いファンを持ち続けている。
「ハーレーの伝統であるVツインエンジンを有しながらも、スポーツライドを楽しませるバイクを作れるのがビューエルだった。今なお継続的にビューエルと手を組んでいれば、さらに面白いハーレーが生まれてきたと思っている。今テイストで取り組んでいるプロジェクトのコンセプトは、まさにそこさ」
テイストコンセプトモーターサイクル代表の河内山智氏は、そう熱く語る。
マシンの名は、『TASTE BATTLE Board track racer-2』。今から遡ること約100年前の1920年、アメリカのボードトラックで疾走していたレーサー『Excelsior Super X』をイメージして手がけられた一台だ。モーターサイクルとして進化したビューエルに、歴史に名を刻んだ名車のグラフィックを投影することで“あるべき姿”を示した『テイスト流 アメリカンレーサー正常進化論』の答えのひとつなのだ。
エンジンに火を入れれば、振動を抑えつつも独特のトルクが心地よいサウンドを奏でる。グラフィックだけではないハーレーらしさが匂い立ってくるようなXB12S。カンパニーの関係者がこのモデルを見てどんな言葉を放つか、ぜひ聞いてみたいものだ。