「ベースそのものが骨太なラバーマウントに対して、“いかにスリムにまとめられるか”という前提でカスタムに取り組んできましたが、今回は逆に“あえてマッシブにまとめてみてはどうだろう”というアプローチを試みました」
ヒデモーターサイクルのビルダー渡 直也氏は、十八番とも言えるボバースタイルにまとめたこの一台を前に、そう語った。確かにエンジンやサイドカバーを見なければ、まるでショベルやアイアンをベースにしたかのような仕上がりと言える。
フロント19/リア16インチというホイールはそのままに、極太タイヤを履かせて足元の印象を一変。そしてヒデモと言えば、“らしさ”がもっとも打ち出されるメタルワークだ。ラバーマウントながらキャブレター仕様というベース車両もあって、ポンプのサイズ感にとらわれることなく美しいアールを描くワンオフフューエルタンクを造形。あえて幅広にしたリアフェンダーとワンオフシートが織り成すラインは、ヒデモの真骨頂というべきもの。
さらに渡氏がチャレンジしたのが、ブラックグラフィックだ。ビンテージ感を出すのなら艶消しブラックでまとめるところに艶ありブラックを差し、違った風合いを演出。ビンテージレーサー風現行スポーツスターという組み合わせにぴったりのグラフィックになっている。
どこのショップも悪戦苦闘するラバーマウント スポーツスターに対してあくなき挑戦を繰り返すヒデモの取り組みは、現行モデルオーナーに示す新しい道しるべとなりうるだろう。