「信号待ちで隣りに並んだライダーから『え?ハーレーなんだ!』って驚かれたことがあります(笑)。後ろ姿が全然ハーレーっぽくないですからね」
オーナーの南さんが言うとおり、リアビューはもはやオフロードバイクのよう。実際、この一台を手がけた八王子のカスタムショップ ブラッククロームの松本悌一さんは「ブラッククロームとして解釈したスクランブラースタイルを目指した」という。
前後サスペンションをしっかり伸ばし、足元は前後18インチのスポークホイール&オフロード用ブロックタイヤという仕様に。ワンオフのステーで汎用オフロードフェンダーを取り付けるという、他では見ないリアエンドを手に入れた。
「前のオーナーから、『こんなスタイルってできないか』って相談されたことが最初でした。元々オフロードバイクで遊ぶのが好きなもんですから、イメージはすぐに描けましたね」
そう語る松本さん、もちろんハーレーらしいカスタムメニューも忘れてはいない。「ブラッククロームとしてこだわる部分」という車体のアールは、タンク加工とオリジナルシートを組み合わせて流麗なものに。強い個性を示しつつも、ハーレーダビッドソンとしての薫りが漂うシルエットを手に入れた。
現在は1200ccに排気量をアップさせ、よりトルクフルなフィーリングを手に入れたという。走り出しも滑らかで軽快感があり、新しいアプローチでスポーツスターらしい走りを生み出している。「もっぱら通勤用」という南さん、この仕様で都心を走れば、相当に楽しいことは想像に難くない。