このスポーツスターを選んだ理由を「予算の都合」と言ってのける山内さん、その好みが一分の漏れなく投影された一台と言えよう。
特に目を引くのは、そのスタイリングの美しさだ。コンパクトなフューエルタンクとソロシート、そして超ショート化されたリアフェンダーが象るアールは流麗で、それでいて前後にFirestoneを履かせてインパクトを持たせている。フロントホイールを白くし、リアをディッシュ化するという演出もなかなかに心憎い。ダーク×ホワイトというカラーリングに、グレーで描かれた旭日旗デザインにオーナーのメッセージ性を感じさせられる。
ピーナッツタンクにファットタイヤ、ロー&ロングなスタイルというのは現行モデルのXL1200X フォーティーエイトに通じるものがあるが、リジッドスポーツで自らこの境地にたどり着いたオーナーのセンスは、量産モデルのそれにはない圧倒的な個性が秘められている。神戸の街に似合うダークなフリスコスポーツ、文句のつけようがないカッコよさである。