スポーツスターをカフェレーサー仕様にカスタムする人は少なくない。しかし、あえてそこにチョッパーカスタムのエッセンスを組み込む挑戦者は希少である。この一台は、これまで数多くのカスタムを手がけてきた HIDE MOTORCYCLE のビルダー HIDE が提示した新たなスポーツスターのスタイルと言える仕上がりである。
カフェレーサーと言えばセパレートハンドル、いわゆるセパハンなわけだが、元々このカフェレーサースタイルは HIDE 自身が推奨したわけではない。「HIDE さんの反対を押し切りました」というオーナー koseki さんの強い要望があったからこその挑戦だった。「ハーレー=遅いというイメージを払拭したかったんです。それで“速そうに見える”という理由からカフェスタイルをチョイスしました」とオーナー。ベース車両を XL1200S にしたのは、キャストホイールとツインプラグ仕様だったから。
ハンドルはセパレートながらバックステップではないため、実際に乗ってみると体を丸めるような姿勢となり、両肘と両膝の位置が近い。また一般的なカフェレーサーと違い、高く盛り上がったチョッパーライクなタンクを採用しているので、ヘルメットの顎部分とタンクとの干渉に少々気を使う。窮屈なライディングを強いられるのでは……と走り出すと、思いのほか窮屈感はなく、一定のスピードに乗れば体が違和感なくバイクに馴染み、快適にシティユースを楽しめた。長時間走行、また渋滞にハマった際は辛い局面を迎えるだろうが、そうした要素を乗り越えてでも「このスタイルにしてみたい」と思わせる魅力を有している。
今後は“走るハーレー”として軽量化などのカスタムメニューを検討している koseki さん。新しいハーレー版カフェレーサーの解釈を生み出した一台と言える。
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