予定もないのに早起きした朝、寒さが緩んでいる気がしたら暖かなイメージの場所を地図で探す。もっとも、山や標高の高い場所は雪や凍結が怖いのではなから候補に入らない。自ずと往き先は海になる。首都高で都心を抜けて長いトンネルから出れば、そこは陽光眩しい南国の海の景色。実際は海風で寒い橋の上だけど。
対岸に渡って適当にインターを降りて南へ走る。一時間も走ると、不思議と気分は春。アタリを着けて国道から横道に逸れる。運が良ければ小さな漁港と美味い魚を食わせる小さな食堂があるかもしれない。行き当たりばったりに走ってみて、目当てのモノが見つかればそれでよし。見つからなくても気分は春なのだ。しばらく走ってまた探せば良い。食欲を満たして、また走って景色の良い場所にバイクを停めて缶コーヒー。しばらく海を見ながら黄昏れたりなんかして。西に傾いた陽をまた別の場所で眺めたりしながら家路に着く。多少冷えても一日陽光を浴びていたから春の気持ちで帰れるのだ。
この季節のロングランは辛い。どんなに完璧に防寒しても走れば走るだけカラダは冷えてゆく。無理して走らず、たまにはこんなショートトリップも良いかもしれない。
ツーリングマガジン アウトライダー など二輪誌を中心に雑誌、広告等で活躍中のカメラマン。愛車は 2010年式 FLTRX ロードグライドカスタム。日本の古典芸能やアメリカインディアン等の文化から多大なる影響を受ける。バイクによる旅の写真や水中写真をライフワークとし、日本やアメリカ、ルート66などの風景を自らバイクで走って撮影するスタイル。「職業=旅人なんて書きたいけど、そこまで旅できていない」という。なぜか誌面に顔を出していること多し。