ボクは1988年式 FLHTC エレクトラグライドの他に、カワサキの“ダブワン”(1971年式 W1SA) を所有していますが、なんせ充電系統に不安があり、開放型バッテリーへの充電は欠かせぬ習慣になっております。
オートバイに使われているバッテリー (鉛蓄電池) は完全放電や満充電を繰り返すと寿命が短くなる特性がありますから、長持ちさせるには頻繁に走行するか、充電器を使って電圧を大きく下げないように管理することが重要なのは、みなさんご存知のとおりです。そして充電器も進化しており、微弱電流を自動的に ON / OFF して、満充電に近い状態を保つトリクル充電 (フロート充電) 方式が、いま売られている製品の主流になっております。昔からある急速充電はバッテリーへ負担がかかり、寿命を縮めることになるので、使うならトリクル充電器がオススメです。
そんな偉そうなことを言っておきながら、ボクはトリクル充電器を持っていませんでした。これまで使ってきた充電器は20年以上前にホームセンターで買った3000円くらいのもので、密閉型 (MFバッテリー) 未対応というポンコツ。エレクトラグライドは MF バッテリーですから、使うことができず、この充電器はダブワンのためだけにフル稼働してきました。
先日も、いつものようにダブワンのバッテリーを車体から外し、ホームセンターで買ったその充電器を繋ぎ、一晩放置。すると翌朝、過充電だったらしくバッテリー液がロワーレベルのはるか下まで蒸発してしまうという凡ミス。トリクル充電器でないと、バッテリーが満充電になっても、どんどん電流を流してしまうのです。
これではイカンと、ダブワンに乗り続け18年ほど経ったいま、ようやく気づき、ついに自分も憧れのトリクル充電器を購入しようと決意しました。そこで選んだのが、デイトナから発売されている 回復微弱充電器 (6930円) です。もちろん自腹で購入。デイトナさん、買いましたよボクっ!
カワサキ W1 のために購入を決意したトリクル充電器だが、エレクトラグライドでもフル稼働してくれそう。デイトナ 回復微弱充電器 (6930円)、二輪12V車、鉛バッテリー専用(開放型、MF、VRLA、GELなど)、充電可能バッテリーサイズ:2.3~28Ah/10HR。
フロート充電方式であることはもちろん、LED 表示による充電状態のお知らせ機能、そして電極に付着した硫酸鉛の結晶 (サルフェーション) 除去機能を備えており、価格も安いというのが魅力。トリクル充電器なら1万円以上の出費を覚悟していただけに即決で購入しました。じつに嬉しい価格設定、デイトナさん、ありがとう!!
バッテリーに接続するコードは一般的なワニ口クリップ端子と、バッテリーに接続コードを繋いだままにしておけるよう丸端子のコードも同梱されており、ワンタッチで接続できるカプラーによって、どちらにも即座に繋ぎ換えることができます。もちろん開放型、密閉型 (MFバッテリー) を問わず利用可能で、FLH のバッテリーもついに充電ができるようになったわけです。
接続のコードは通常のワニ口クリップ端子のほか、バッテリーに接続コードを繋いだままにできるよう丸端子のコードも入っている。パニアケースを外してからでないとサイドカバーが外せず、バッテリーへのアクセスが厄介なエレクトラグライドで使用することにした。
丸端子、ワニ口、同梱される2本の接続コードはいずれも反対側はカプラーになっていて、ワンタッチで充電器と接続できる。カプラーを車体のどこかに出しておけば、サイドカバーなどを外さなくても簡単に充電ができる。ハーレーに限らず、バッテリーへのアクセスが困難な車両にはじつにありがたい。
ダブワンのバッテリーはサイドカバーを外すだけで簡単にアクセスできるので、ワニ口端子を使って従来通り充電することにし、丸端子接続のコードはパニアケースを外してからでないとサイドカバーが外せず、バッテリーへのアクセスが厄介なエレクトラグライドで使用することにしました。
ボクのエレクトラグライドは、バッテリーを搭載する車体右側のサドルケース内に ETC 車載器を入れているが、その配線とともに充電用のケーブルも出しておくことにした。サドルバッグのない車両なら、フレームの内側にタイラップでとめておけばいいだろう。
これがたいへん便利です。バッテリー監視機能があるので、過充電の心配は無用となり、バイクに乗らないときは充電器を繋ぎっ放しにしておくことができますし、エレクトラグライドの MF バッテリーに取り付けた丸端子接続コードの反対側は充電器の出力端子とワンタッチで接続できるカプラーになっていますから、このカプラーを車体のどこかに隠しておけば、充電器を簡単に繋ぐことができるのです。カプラーを出して置く場所は、ボクの場合サドルバッグ内にしましたが、フレームの裏側などどこだって OK です。
本体の上面にインジケーターがあり、緑と赤のランプでバッテリーの状態を知らせてくれる。ぜんぶで6種類の表示パターンがあり、充電中は緑点灯+赤点滅、緑点灯+点灯で75%充電完了、緑消灯+赤点滅は満充電状態と、きめ細かくお知らせしてくれる。テスターが不要になったのも嬉しいかぎりだ。
充電器の本体は 155×55×90mm というコンパクトなサイズで、重量は600グラムほど。本体の上面にインジケーターがズラリ並んでおり、バッテリーの充電状態が一目でわかります。バッテリーに不安はなかったエレクトラグライドですが、これでバッテリーの状態をしっかり管理することができそうです。もちろん、ダブワンの開放式バッテリーのためにもフル稼働していただきます。
ワニ口端子を使っての充電ももちろん可能。写真は 1971年式カワサキ W1SA に使われているオーソドックスな開放型バッテリー。過充電によるバッテリー液の蒸発を解決しようとトリクル充電器の購入を決意したが、ハーレーでも活躍してくれることになった。
バイク雑誌各誌で執筆活動を続けるフリーランス。車両インプレッションはもちろん、社会ネタ、ユーザー取材、旅モノ、用品……と、幅広いジャンルの記事を手がける。モトクロスレースに現役で参戦し続けるハードな一面を持ちつつも、40年前のOHV ツインや超ド級ビッグクルーザー、さらにはイタリアンスクーターも所有する。