VIRGIN HARLEY |  第6回 ワインディング走行時の調整サスペンション徹底解析

第6回 ワインディング走行時の調整

サスペンション講座の画像

街乗り仕様をベースに、ソロ&タンデムツーリング時の調整と、ハーレーで走りを楽しむうえで欠かせないシチュエーションを前提としたセッティングを解説してきましたが、今回は山道など曲がりくねったルートがメインとなるワインディング走行時のセッティングをご紹介します。ハーレーライフとは少々縁遠い感じがしなくもないでしょうが、やはり日本国内を走るわけですからツーリング先でワインディングに遭遇することは珍しくありません。知っていると意外な発見があるもの、ぜひご一読ください。

いつもどおりの現状確認
皆さんもぜひ習慣づけてみてください

いつもと同じように、来店された小瀧さんのリアショックの現状確認を行いましょう。後ほど作業内でもご説明しますが、前回チェックしたときからどれだけ走ったか(走行距離)、そしてストロークにどう変化が出ているか、この2ヶ所の数値をチェックするだけで変化が見えてくるもの。これ、別にプロだから……という意味でもなんでもなく、チェックし続けているうちに細かな点に気付き出せるのです。要はチェックすることを慣習化すること。グレードの高いリアショックを装着されている方ほど、この点に着目してみてください。

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今回はワインディング……ですが、その前にまず現状チェック!

我妻店長のワンポイントアドバイス

上りと下りの際の動きを知ろう

大事なのは、「上り」と「下り」でリアショックが違う動きをするというのを知ることです。曲がりくねった道はもちろんですが、何より激しい上下運動を強いられるのがワインディングですので、上るときと下るときで加重の掛かり方がまったく違ってきますし、特にセッティング可能なリアショックほど、そのわずかな差がバイクを通じてライダーの体へと伝わります。右の画像をご覧いただければ分かりますが、上りの場合はライダーの体重を含め加重が後ろがかりになり、下りだと前がかりになって走行バランスに影響を及ぼすのです。そうした動きに対してどんなセッティングを施してやればいいのか。

上りの場合
  • ●  ポイント:リア加重になるのでしなやかな動きになるよう調整する
  • ●  セッティング:プリロードを1~2回転締める(スプリングを締める)
下りの場合
  • ●  ポイント:フロント加重になるので後ろが跳ねすぎないよう固めにする
  • ●  セッティング:プリロードを1回転ほど抜く(スプリングを伸ばす)

ワインディング走行を楽しまれる方こそ知ってほしい内容です。実際にツーリング中にセッティングをするかどうかは個人差があるでしょうが、知っておいてソンはしませんからね(笑)。

サスペンション講座の画像
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[上り]と[下り]で加重の掛かり方がまったく異なるので、性能の良いリアショックほど微調整するだけで走りに差が出てきます。

プロのチェックポイントを追う

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【01】いつもの現状確認をする

では早速、小瀧さんのストロークをチェックします。スプリング長は1Gで193mm。特に変わりなく動けている模様ですね。では上り仕様にと調整しましょうか。
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【02】回転軸をマーキングする

以前施したマーキングを一本軸として記してやります。こうしておけば、現場でセッティングを施す際に正しい回転数ができたかどうかを見誤ることはありません。
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【03】タイラップチェックも大事

以前から取り入れているタイラップチェック。ロット部分に巻き付けて沈み込みを見るわけですが、上りであまり沈み込んでいなければ抜いてやりましょう。

小瀧さんインプレッション

ワインディング楽しい!(笑)

今回のように「ワインディングを走ろう!」と決めて峠道に来たことはなかったので、どんなものかな?と思っていたのですが、すごく面白かったです! 楽しみすぎて、ステップ擦っちゃいました(笑)。FXDLダイナ・ローライダーですからバンク角が少なく、どうしてもコーナーで寝かしきれなくて……って、そういう話じゃない?(笑) 改めて、リアショックが以前のノーマルタイプだったと思うと、きっと衝撃の突き上げに悩まされていたと思います。そして上りと下りでの変化は、自分なりには体感できました。実際に現場で調整も試みて、微妙な違いでしたが変化を知ることもできました。目指すは日本一リアショックのセッティングができるローライダー女子です!(笑)

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上りと下り、それぞれの微妙な違いも味わえました。でもそれ以上に、ワインディング楽しい!(笑)

自分でやるサスペンション・セッティング

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【01】まずはタイプラップチェック

ロットに取り付けたタイラップをチェック。親指の太さよりも余っていると、あまりサスが動いていない証拠。下りのときは跳ね上がる要因となるので注意!
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【02】プリロードを抜いてやる

親指よりやや余り気味だったので、工具を用いてプリロードを抜き、スプリングを伸ばしてやります。さすが小瀧さん、セッティング作業もずいぶん手馴れたもの。
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【03】左右のバランス確認も

反対側のリアショックのセッティングも完了したら、後ろから見て平行になっているかどうか確認。ここのバランスも大事ですからね。さぁ下っていきましょう。

ワインディングはあくまで状況のひとつ
どんな環境にも対応できる調整を

このように、走行状況が過酷になるほどリアショックやフロントフォークは激しく動くわけで、この連載コラムはリアショックにのみポイントを置いて解説していますが、もしさまざまな走行状況に対応できる走りとしたい場合は、フロントフォークのスプリングやオイルを換え、プロの知識を得ながら自分の乗り味を模索していく方法が必要となるでしょう。ハーレーだとなかなかそこまで……と思われるかもしれませんが、愛車と末永く付き合う上で“走り心地”は軽視できないポイントですし、ハーレーのモデルだってきちんとセッティングしてやればもっと乗りやすくなるのです。気になる方は、ぜひ懇意にされているショップやディーラーに相談してみてはいかがでしょうか。大幅に乗り味が向上すること間違いありませんよ!

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過酷な走行状況に対応できるセッティングができれば、ますます“乗る・走る”楽しみが増えてきますよ。
プロフィール
ウノパーウノ 尾山台店 店長
我妻 修

若い頃からさまざまなバイクを乗り継いできた、根っからのバイク好き。現在はスウェーデンのサスペンション『オーリンズ』のアジア・ディストリビューションである『カロッツェリアジャパン』の社員として、同社が運営するオーリンズ・サスの販売店『ウノパーウノ』尾山台店の店長を務める。

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