車の基本は、「走る、曲がる、止まる」と言われます。ブレーキは「止まる」ための装置です。本来は、「運動している物体を減速、停止させたり、または速度を調整する装置」と言った方が正しいかも知れません。物体は、オートバイ、自動車、鉄道、自転車などの私たちの生活の中にあるものです。数キロの軽量物から数トンを超える重量物が高速で動くときのエネルギーは巨大になります。その運動エネルギーをごく短時間で、摩擦により熱エネルギーに変換して速度を調整していくのです。運転者が「ブレーキレバーを握る」、「ブレーキペダルを踏む」と物体が止まります。
重要部品とあって真剣です。
私は二年生の担任をしていますが、「ブレーキの点検整備」の実習は初対面である一年生に教えます。初めてのクラスで実習を担当するときに必ず行うことがあります。自己紹介です。学内では顔を合わせていますが、挨拶をする程度です。とても特徴のある学生以外は顔と名前が一致しません。まずは私が自己紹介をしますが、学生にしてもらう合間にどんどん質問を投げかけて(学生まかせにするとありきたりになるので)気持ちをほぐしながら人間関係を深めます。
このブレーキがハーレーを停止させます。すごい力持ち!
自己紹介には目的があります。「名前を覚えること」と「教員と学生の信頼関係を築くこと」です。名前を聞いただけでは、すぐに忘れてしまいます。そこで、趣味、自慢、去年の自分はどうだったのか、また将来などについて語ってもらいます。授業の内容に関心を持ってもらうためには、学生たちの自動車やオートバイに対する興味からかけ離れた話をしてはダメです。学生たちがどのようなこと考えているか、目標、趣味などを知り授業の中に落とし込んでいきます。これからの一年半でより多くの知識を伝えられるように工夫していくのです。ちなみに、ブレーキは車両のシステムの中でも最重要の部品です。運転者のみならず人の命がかかってきますので決してミスは許せません。この点は学生たちに対しても徹底的に理解してもらいました。