ハーレーと聞いて、多くの方が思い浮かべるのがこの「ツーリング・ファミリー」では? 特にエレクトラグライド系は、その威風堂々としたフロントマスクと、リアのどっしりとした装備で見る人に強烈なインパクトを与えます。またロードキング系も、以前あったアメリカ映画でよく出てくるアメリカの白バイ(ポリス)でご存知の方も多いでしょう。そう、日本で最も知られているハーレーこそ、このツーリングファミリーかもしれません。今回は、この有名なツーリング・ファミリーについて見ていきましょう。
はい。大いにあります。それではまず、エレクトラグライドからご説明しましょう。まず、エレクトラグライドというモデルがデビューしたのは1965年。それまでのデュオグライドというモデルにセル・スターターが装備されたのをきっかけに、名称をエレクトラグライドと名づけられたのが始まり。もともと、ハーレーダビッドソンは、創業時より長距離向けの大排気量モデルとして開発されてきました。それは、アメリカ大陸という広さを考えると納得! ではないでしょうか。
さて、1965年から始まったエレクトラグライド。時代が進むにつれてツーリングを快適にこなすための機能面がみるみる進化していきます。大型のカウル、サドルバッグ、オーディオシステム、オートクルーズコントロールなどがそれにあたる部分ですね。このエレクトラグライドの生産がスタートしてから約10年後、よりシンプルな美しさを取り入れたニューモデルが1977年に限定発売されました。ロードキングの前身であるFLHS(エレクトラグライド・スポーツ)です。このFLHSをグレードアップして1994年に登場したのがFLHR(ロードキング)で、1960年代のモデルを思わせるナセル型のヘッドライトやデタッチャブル(取り外し可能)ウィンドシールド、左右2本だしのマフラーなど、まさにキングの名称にふさわしい装備がされ、一躍人気モデルとなったんです。エレクトラグライドとロードキングの違いをカンタンに言うなら、エレクトラグライドシリーズはより「快適さ」と「伝統」を重視したモデル。ロードキングシリーズは、軽量化されスポーティ、都会的なルックスを与えられているモデルと言えますね。
長距離を走りぬくために開発されたモデルだけに、乗り心地のよさは他のモデルに比べてワンランク上です。例えば、大型のウィンドシールドは走行時の風を可能な限り防ぎ、ライダーの疲れを軽減します。また、エンジンはバランサーのない「ツインカム88(’07~は96)」ですが、もちろんラバーマウント。快適な走行フィーリングを実現してくれます。乗り心地とは直接関係ありませんが、長距離移動時に重宝する「オートクルーズ・コントロール(ウルトラクラシック、ロードグライドなどに装備されていますね。
ただし、こちらも年式により異なります)」。アクセルを捻りっ放しにせずとも、指定した速度をオートマティックに保ってくれます。高速道路などでは大活躍のお勧め機能です。また、ウルトラクラシックやロードグライドなどの一部の車種(年式で仕様は異なります)ではオーディオが搭載されています。これが実に魅力的な機能を持っているのです。走行スピードに応じて音量が自動変化する機能がついて、幅広い速度域で快適に音楽を聴くことができます。そうそう、2006年モデルからはMP3にも対応していますから、ダウンロードしてきた楽曲なども楽しめちゃうんですよ。
「え? これもハーレー?」って思う方が一番多いモデルが、これなんじゃないでしょうか。現代的かつアメリカな印象を与えるフロントエンドの2連ライトと角ばったカウルが印象的ですね。このモデルの最大の特徴は、その取り回しのよさ。そのヒミツは、カウルの取り付け方法(マウント方法)にあります。エレクトラグライドがカウルをフロントフォークに取り付けてあるのに対して、ロードグライドはフレームに取り付けられているため、ハンドルがエレクトラグライドに比べて軽いのです。スタイルからもわかると思いますが、よりスポーティな走りも楽しめるモデルというわけです。加えて、このロードグライドのすごいところはオーディオ、オートクルーズ・コントロールも装備されていて快適さとスポーティさを高次元で実現しているモデルで、年々人気がじわじわと上がってきているんですよ。
そんなことはありません。女性でもツアラーに乗る方がいらっしゃるくらいですから。確かに300kgをゆうに超える最重量カテゴリで、取り回しにはツラいものがあります。しかし、走り出せばその重さはきっと気にならなくなるでしょう。むしろ、ソフテイルなどの車高の低いモデルに比べてコーナーでは有利だったりします。足付きが若干悪いことがあるので、車種によっては「ロープロファイルサスペンション」という車高を低くすることができるサスペンションがオプションで用意されているんです。ハーレーは、さまざまな体型の方にフィットさせることができる万余のオプションパーツが用意されていますから、それほど心配する必要はないといえるでしょう。