冬の夕刻。小気味よいエキゾーストノートを奏でながら、真っ赤なH-Dエボリューションが待ち合わせ場所に現れた。バイクを停めたオーナーがひとたびヘルメットを脱ぐと、そこには夕陽にも負けんばかりのまばゆい笑顔をたたえた顔が見て取れた。
FUMIさん。学生の頃によくバイクの後ろに乗せてもらったという彼女は、いつしか自分で運転する事に興味を覚えていったそうだ。
「父も祖父もバイク乗りだったんですよ。そのせいか、小さい頃からバイクには興味があったんです。原点はそこかもしれませんね」
早速免許を取った彼女は、まずドラッグスター乗りとなった。そして時間が経つと、周りのバイク仲間は次第にハーレーへと乗り換えていったと言う。もちろんFUMIさんもご多分に漏れず、ハーレーを強く意識する日々が続いた。
そんな時である。仲間がツーリング中のトラブルでたまたま立ち寄ったバイク屋でこの真っ赤なエボリューションを見付け、すぐに赤が大好きなFUMIさんを思い浮かべて連絡した。「FUMIちゃんが好きそうなバイクがあったよ」。大型免許の教習中だった彼女はそれを聞くや、バイク屋に急行。気がついたら契約してたと笑う。そして、大型免許を取得したその日から、彼女はハーレー乗りとなったのである。
「初めはドラスタの感覚で走ってたんですけど重くて重くて……。3日で3回コケました。人がいないとバイク置き場から出せないぐらい重い。本当に苦労しました(笑)」
納車から早4年半。今やFUMIさんにとって真っ赤なエボリューションは最良の相棒だ。富士山を見に静岡まで走ったり、女子ツーリングを企画して大勢で走ったりと、バイクライフを存分に楽しんでいるようだ。そして仕事が忙しい彼女の夢は、一人旅に出ること。
そんなFUMIさんは、荷物を満載にして走り出す日を夢見て、今日も笑顔で働いていることだろう。