集合場所に現れた彼女は、おおよそバイク乗りとは思えないほどに、ガーリーなビジュアル。よもや彼女がリジッドチョッパーに乗っているなどと初見の誰が想像できるだろうか。
真麻さん。彼女がバイクに乗るキッカケになったのは、彼氏とのツーリングだった。「初めてのバイクデートが阿蘇までのツーリングで。でも後ろに乗ったらお尻が痛くて痛くて……。もうタンデムなんてしない! って思いました」。当時の彼のバイクはハーレーのEVOチョッパー。Rフェンダーに急遽取り付けた吸盤ピリオンは、バイク初体験の彼女には少々ハードだったようだ。しかしその後もタンデムを体験していくうち「前(運転)の方が面白そう!」と思うようになったと言う。
いつの間にか、彼氏から“夫”になったパートナーには「危ないから……」と、初めは反対されるも自動車学校に入校。原付すら運転経験のなかった真麻さんだったが、思いのほかスムーズに普通自動二輪、そして大型免許を取得。幾度のタンデム体験がイメトレ効果を発揮したのかもしれない。
ファーストバイクはライトカスタムされたソフテイル。その重さに四苦八苦したものの、ショップのツーリングなどにも積極的に参加するなど、走りを重ねるごとに車体に慣れていった。そんな頃に出会ったのが、現在の愛車となるスポリジ(スポーツスター・リジッド)である。
「ショップでカスタムの過程を見ていた頃から、オシャレでかわいいバイクだなぁって思ってました」
しかし、まさかそれが真麻さんのバイクになるとは夢にも思わなかった。
真麻さんのご主人。彼こそショップのオーナーであり、真麻さんのような女性(いわゆる、男勝りでワイルドな「女バイカー」然とした女性ではなく)に乗って欲しいとイメージして生まれたのがこのスポリジなのだ。
「突然“乗ってみてよ”って言われて。恐る恐る乗ってみたんですけど、走ってみたら乗りやすくて! ソフテイルの重さがウソみたいに軽いし、よく走るし、曲がるし停まるし……。もうビックリしました」
それまでひとりでバイクに乗ることなど滅多になかった真麻さんだが、仲間とのツーリングだけでなくソロも楽しんでいるという。はじめこそリジッドの洗礼を味わったというが、今や実に軽快にスポリジを走らせる。
冒頭に記した通り、およそチョッパー乗りと思えぬスタイルの真麻さんなのだが、不思議とこのバイクに乗っている姿に違和感はなく、むしろ見ていて痛快ですらある。
「このバイクのおかげで、バイクがもっと好きになりました!」
そう話す彼女の笑顔から、愛車への愛情とご主人への感謝の想いとを感じずにはいられなかった。