待ち合わせ場所に颯爽と現れたのは、尖ったハンドルが特徴的なダイナストリートボブに乗る女性だった。全体をブラックで統一した愛車のビッグツインは、傍から見れば女性がオーナーだとはにわかに信じ難い無骨な雰囲気を醸し出している。そして肝心のオーナーはというと、そのバイクのテイストとは裏腹に線が細く、男っぽい外貌は微塵も見て取れない、正しく“女性”の姿であった。
チョッパーライクな威風堂々としたライディングポジションに、激しく弾けるエキゾーストサウンド。都心で生活する女性ならではの洗練されたファッションに身を包む彼女とのギャップに面喰らう。
MIHOKOさんがバイクに乗り出したのは社会人になってからだ。ドラッグスター400を購入して週末ごとに近場を走り、そして日帰りツーリングにも月に一度は出掛けていたそうだ。
「ツーリングは往復でだいたい300kmぐらい。山梨とか関東圏内ですね。そんななか一緒に走ってる友だちがハーレーに乗ってるのを見て、良いなぁ、ちょっと寂しいなって(笑)。だから大型免許を取ってハーレーを買うまではあっという間でしたよ」
人懐っこい表情で屈託なく笑う彼女の話しを聞いていると、どこか心落ち着く不思議な感覚にとらわれる。ひと言で“癒し系”。この独特の空気感をまとった女性と、無骨な愛車との対比はやはり興味深い。
見た目とフィーリングに魅了され、今年でハーレーを手に入れて3年半になると言うMIHOKOさん。そんな小柄な彼女がひとたび愛車に跨り、走り去る姿は壮観ですらあった。