2016年モデルに登場したニューカテゴリー「Sシリーズ」。既存モデルをベースとしつつ、CVOだけに許された最強エンジンを積んだマシン群は、あえてネイキッドなモデルに搭載することでエンジンそのものを存分に感じ取らせようというカンパニーの思惑が透けて見えるようだ。
「ファミリー」の呼称で区分されるハーレーダビッドソンのカテゴリーに、「シリーズ」という呼び名で登場したSシリーズ。FLSS ソフテイルスリムSとFLSTFBS ファットボーイSの2モデルがまずデビューをはたし、2016年中間期モデルとしてFXDLS ローライダーSがお披露目されました。
既存ラインナップのなかから選ばれたモデルに、CVOだけに搭載される排気量1,801cc/スクリーミンイーグル・ツインカム110エンジンを与えたのがSシリーズモデルです。加えて、スリムSとローライダーSはオリジナルグラフィックが用意されるなど、オリジナリティもしっかりと打ち出されています。
Sシリーズが意図するところは、2016年現在で最高位にあたるビッグエンジンをダイレクトに味わえるモデルを生み出すこと。重装備のツアラー系モデルが多いCVOと見比べればその違いは顕著で、サドルバッグやトップケースといった装備を持たないネイキッドモデルがベースだからこそ、そのパワフルなエンジンフィーリングを存分に堪能できるというもの。
また、110キュービックインチというビッグエンジンなので、ソフテイルやダイナがベースであるにもかかわらず、ツーリングファミリー以上のモデルに搭載されるスイッチボックスが備わっており、最新のオートクルーズコントロールシステムを利用することができるのです。ありそうでなかった、ハーレーらしいクルーザーモデルといえるでしょう。
2016年3月現在、ソフテイルモデルはいずれも103ci(キュービックインチ)、ダイナモデルは96ciのツインカムエンジンが備わっています。これを110ci化しようと思うと、専用のボアアップキットを用いたカスタムが必要になります。当然ながら製品価格はもちろん、そこに工賃も組み込まれるので、50万円以内で収まることはまずありません。しかしながら、いずれのモデルを見ても、ベースモデルとの価格差は20~27万円と、30万円も開いていないのです。さらにオリジナルグラフィックやスクリーミンイーグル製ハイフローエアクリーナーなども手に入れられるのですから、こんなお買い得マシンはまずないでしょう。
ローライダーSに関しては、ビキニカウルにドラッグバー、独自カラー、プレミアムエマルジョンサスペンションを標準装備、さらにエンジンもブラックアウトなどなど、CVOにカテゴライズしてもいいのでは?と思うほどの豪華さ。このみが合えば、即決してもいいバイクだと言えます。
110ciエンジンこそがそのアイデンティティであるSシリーズです、基本的に同じツインカムエンジンを搭載するソフテイルやダイナのモデルがベースとなることでしょう。今後はワイドグライドやソフテイルデラックスのSシリーズが登場してくるかもしれませんね。