トライクは、今やハーレーダビッドソンの中でも人気車種として確立された分野となった。その独特のスタイルと走行安定性、そして何より運転のしやすさが魅力的な車種なのだ。トライクは、今までのハーレーユーザーの他にも裾野を広げる役割を担っているように思う。
平本さんは現在76歳。このトライクは昨年の10月に納車された。他のハーレーからの乗り換えなのかと尋ねてみると、答えはNOだった。オートバイの経験は、ずっと昔の1960年代にヤマハの250スポーツに乗ったきり、長いブランクがあったという。
「きっかけは息子なんですよ。僕より先にハーレーを購入したので、その姿にみとれてしまってね。自分でも乗ってみたいと考えるようになったんです。でも歳も歳だからね。重量のあるオートバイは扱えないと思いましてね。それでトライクなら乗れるかもと考えたんですよ」
奥様に「見に行くだけ」と言い残してディーラーを訪問した平本さんは、その場で購入を決めてしまった。実はポケットには印鑑を忍ばせていたというから、これは完全に確信犯だが、奥様も最初から気付いていたようだ。
「もう夫婦として長いんだから、顔を見れば分かりますよ。わたしも乗り物好きで、家族みんな趣味が似ているから、反対する理由もないじゃない。時々後ろに乗せてくれれば楽しそうだと思いましたしね。ちょっと若返った気分ですよ」
奥様の京子さんも、昔はライダーだった時期がある人。当時は趣味ではなく、仕事でオートバイに乗ったそうだが、女性ライダーは本当に数少なかったはずだ。その後は夫婦ともにクルマでのドライブが趣味となり、仲良く出かけることは今でも多いという。
平本さんが通うショップは、ハーレーダビッドソン相模原である。ご自宅は横浜なので、少し遠い気がするのだが、そこには理由があった。
「やっぱり評判ですよ。このお店はとにかくスタッフの評判が良くってね。とても居心地が良いんです。仲間も増えましたよ。だから今は楽しくてしかたがない」
乗り物は好きだがハーレーは初心者。しかも今までまったく乗ったことのないトライクに挑戦ということで、少し不安もあったのだが、ショップスタッフの細かい気遣いとアドバイスで、すぐに乗りこなせるようになったという。
「今年の秋頃には北海道に行こうかと考えているんですよ。家内には飛行機で行ってもらって現地だけタンデムというのも楽しそうだよね。もう考えているだけでワクワクしてきますよ」
トライクは平本さん夫婦にとって、また新しい世界を切り開いた特別な存在となったようである。