ハーレー本来のヴィンテージスタイルを今に伝えるリジッド風フレームから成るソフテイルファミリーに念願のニューモデルが登場した。それがこの FLS ソフテイル スリムだ。フロント部分から見ると FLSTFB ファットボーイ・ロー とも見えるが、このモデルの本質はそこではない。目指したのは、1950年代をほうふつさせるクラシックなボバーカスタム。ショート化された前後フェンダーに表情を決定づけるナセル、スラッシュカットエキゾーストにオリジナルのソロシート……そして特に目を惹くのが、“ハリウッドハンドルバー”と名付けられたクロスバーとキャッツアイコンソールだろう。いずれも一斉を風靡した FL (ナックルヘッド)へのオマージュとも言えるオリジナルパーツで、スリムの注目点を問われてここを無視するわけにはいかない。
ソフテイル スリムの魅力はこれらビジュアルもさることながら、バランスの良いライディングが楽しめるところにもある。フロント/リアとも 16 インチのスポークホイールという設定で、リア幅は 144 ミリとされる。FXS ブラックラインと同じ設計ながら、FL 仕様のファットなフロントタイヤとの相性はバツグンで、安定感はもちろん、コーナリング時の倒し込みでも難なくコントロールすることができる。ワイドなハンドルバーもその助力となっており、乗れば乗るほど「60年代以前のハーレー (ハイドラグライドなど) はこんな感じなんだろうな」とノスタルジックな雰囲気と合わせて味わうことができる。ヴィンテージ感と乗り心地、そのどちらも求めたいツインカム希望の方にオススメしたいモデルだ。
ぱっと見はファットボーイに良く似ているのでその印象を強めてしまいますが、注目したいのは 144 ミリのリアタイヤですね。同じ仕様とされる FXS ブラックラインは実にバランス良く走れるバイクで、ファットボーイと比較するというよりは、ブラックラインと比較してお好みのスタイルを選ばれるのが良いのではないでしょうか。見た目以上に気持ち良く走れるバイクだと思います。カスタムという点で見ると、インパクトあるナセルにハリウッドハンドルバー、キャッツアイコンソール、カスタム風ソロシートと、個性的なパーツが多いのでイジりづらい印象があります。大きく崩さず、ペイントなどでオリジナリティを出すのが良いかもしれませんね。
(ハーレーダビッドソン練馬 店長 大竹三智男氏)