その完成度の高さから、大きく手を入れると本来の魅力そのものを失ってしまう諸刃の剣のようなフォーティーエイト。そんなカスタムビルダー泣かせな人気モデルに対し、大阪・摂津に居を構える「とりあえず大阪チョッパーズ」のビルダー角川将士氏は、タブーとも言える大胆なカスタムを敢行。誰もが恐れたフォーティーエイト本来のイメージを完全に破壊し、独自のカラーを持った一台へと生まれ変わらせてしまった。
取り込まれたのは、ハーレーカスタムの世界に触れた者なら一度は耳にする圧倒的人気を誇るブランド『ウエストコーストチョッパーズ』のエッセンス。随所に盛り込まれたビレットパーツはさまざまなブランドのものながら、スタイルそのものを決定づけるグラフィックにこそ注目されたし。フレイクをふんだんにまぶしたパープル×シルバーのフレイムスのうえに描かれたのは、WCCの元ビルダーである日本人アキ・サカモト氏のタトゥーデザイン。拳銃のリボルバーを象ったキャップ付きフューエルタンクをベースとし、ホイールもF21インチ/R16インチにチェンジ。フォーティーエイトの面影は微塵も残されていない。
「ベースが何であれ、カッコいいバイクをつくるのが僕らの仕事ですから、“フォーティーエイトだから”とかいうのは理由にならないですね。もちろんやるからには、本来の姿以上の完成度を目指します」
不敵な笑みを浮かべる角川氏の手にかかったハーレーは、未知の世界への扉を開けることになると思い知らされた。